エピローグ〜それから〜
私の朝は、ご飯を作ることから始まる。
野菜を刻むリズムは前よりも少し寂しげに響き、窓からそよそよと流れ込む朝の空気は、私の胸をいたわるように優しく吹いてゆく。
朝日の眩しさに、『父』が起床。
お味噌のいい香りに誘われるように、『弟』が起床。写真の前で呟く。おはよう、千草母さん、と。
相変わらず寝坊した『姉』と『妹』も起床。
五人で食卓を囲む。
そこに『母』の姿はない。
私こと絵堂文、大学二回生。
『兄』改め『父』こと東鈴太郎、三十一歳。
『弟』こと間宮夏、小学六年生。
『姉』こと小田花乃、就活中。
『妹』ことフローレス陽華里、専門学校二年生。
あれから、四年の歳月が過ぎていった。その中でだんだんと寂しさは薄らいでいった。少しずつ、ほんの少しずつ。
たとえ寄せ集めの家族だとしても、家族であることには変わりない。
誰かがかけたとしても、それは誰かが、新たな幸せを掴んだ証拠なのだ。
私たちは『家族』であり、最強の『仲間』なのだから。
今日も私たちに、幸せな『日常』がやってくる――。
花束 アキサクラ @hoshiimo_nagatuki
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