「あっ。ごめん。起こした?」


 彼。

 隣に寝ている。


「あっえっ。仕事終わったの?」


「終わったよ。そこそこ面倒だったけど」


「うわっちょっと待って。まだ調整終わってないんだけど武器の」


 ベッドから起き上がる。乱雑に置かれたゴム。ひとつとって、髪を結ぶ。


「うっ」


 下腹部の、じんじんした感じ。かがむと、強くなる。


「しまった。筋肉痛だわ」


「トレーニング?」


「うん。あなたが仕事に行ってる間、少しでも身体能力あげようと思って」


「裏目に出たな。今日は勝ち日だ」


「うええ。胸揉ませてあげるから許してええ」


 突き出される胸。


「新しいスポーツトップ?」


「うん。締め付けるんじゃなくて、解放するの」


「なんの意味が」


「あなた見るでしょ。胸」


「えっ色仕掛け?」


「色も、武器よ。さあ、今日も張り切ってパラミリー」


「そのまえに。ちょっと寝かせて」


「どうぞ。わたしも横で寝ます」


「寝れないじゃん」


「寝せません」


 仕事から帰ってきたので。

 彼のいる今日が、始まる。


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パラミリー・ラヴ (第一稿) 春嵐 @aiot3110

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