【ある魔女の追想】
【ある魔女の追想】①
「さあ、最後の警告だ。嘘はつかないって約束したから、『嘘』の能力は使わないであげるよ。どかないと、その扉ごと吹き飛ばす。本気だよ」
「……絶対にどきません。この中にいる人は、殺させません」
「あ、そう」
彼らがいるアパートの外階段……その一番下に座っている咲子は、またこれかと心の中で呟いた。このあと何が起きて、二人がどうなるかはもう知っている。
「……」
咲子は小さくため息をついた。さて、これは何度目だっただろう。心の中でそう思う。同じことを言い続ける女の子と、変わらない展開。さすがに少し飽きてきた。
咲子は目を閉じ、横の柵に体をもたれさせた。
「……ほら、結局そうやって銃を向けるんだね。何が正義だ。君も僕と一緒じゃないか」
「違います! 私はただ、あなたを止めようとしているだけで……」
上から二人の声が聞こえてくる。どうでもいい。
咲子は意識を自分の中に向ける。そして思い返す。自分がこの世界に来た時のことを。自分の一度目の人生を。幸せと愛で溢れた、ある一人の人物との始まりの記憶を。
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