8

 食事は終わり僕はロザリーに引っ張られていた。


「まずはお祈りをするわよ」

「昨日はしなかったけどいいの?」


 すると彼女は首を横に振って答えた。


「お祈りはね、神様にお仕事をお願いするものなのよ、灰の化け物から守ってくださいってね、だから雨の日はしないの」


 灰の化け物、その言葉に少しビクリとした。


「そうだレイン、貴方って何処からきたの?」


 僕は恐怖した、もしここで彼女にあの事を伝えたら、また……


 僕からギリリと音が漏れるように鳴る


「……覚えてないんだ」


 僕は彼女に僕の事を隠した


「そうよね、名前も知らないんだし」


 ある扉の前で彼女は止まった。


「この扉の向こうがお祈りをする場所」


 そう言って扉を開けると、そこには天井から大きな何かがタレてゆっくりと揺れていて、部屋に差す色付きの光が照らす4つある椅子に順番に影を作っていた。


「あっ椅子が、ちょっと待ってて」


 そう言うとロザリーは部屋の外へと出ていった。部屋には僕ひとり、シンと静まった空間にはゆっくりと静かに揺れる何かの音が


カタリ、カタリ、カチリ

と響いていた。


 いつのまに目を瞑りその音に耳を立てる、奥からは

カタカタ

と音がなり、微かに風の音がしていた、ただその音は違和感があったものの何処か心を落ち着かせた。


ズルズル


と音がしてまもなく、ガチャリと言う音と共にロザリーが入ってきた。


「おまたせレイン、はじめよ」


 そう言うと彼女はさっき置いた椅子を叩いて隣の椅子に座る。

置いた椅子には黒い布が付いていた。


「レインのは黒いやつね、これで誰の椅子か分かるの、白が私で赤が神父様で青がシスター、そして黄色は……」


そう言うとロザリーは少し黙った後、こっちを向いて少し笑った


「今度教えてあげる」

「今度って……」

「さぁ、早くお祈りしよ」


結局僕は深く聞くことも無く席に座って祈った

祈りの時間は静かに過ぎていった

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黒い羊さん @nakame0086

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