第25話 謎の女

俺の探す当てはルーン文字の解読の時に偶然見つけた。

それは、レイモンドのギルドにたどり着く前の道程での出来事だった。


「では、これからダウジングをやる」

「ダウジング?」

「そうだ、俺のいた世界ではアタリハズレがあったが、ルーン文字で魔法を駆使すればほとんど高い的中率で捜索物を見つけ出すことができる。これはすでに実証済みだ。」

「隠れ家ギルドの入り口や場所などをある程度理解できた時がそれだ」

「そうだったのか!初めてにしてはやけに詳しいと思ったぞ」

「いや待てよ、フランが暴走するとか言ってなかったか?」

「それも解読していくうちにわかったが暴走するのは一部の強力な魔法であってこのぐらいなら問題はない」


そんなやりとりをして、俺はルーン文字を空中に描き、それを握りつぶすと手からチェーンが出てきてその先端にはダイヤ型の金属がぶら下がっている。それを胸元ぐらいでかざすとその先端が動きだす。


「おーなんか先端が北の方角を指しているぞ!」

「チェーンの先端が導く先を目指せば目的のものはいるはずだ!」

「よし!わかった」


俺たちはチェーンの導くままに森を進むことにした。鬱蒼とした森の中に入るとコンパスがおかしな方向を向きだした。ここの磁場は通常とは違う。もしくは天狗がそれを引き起こしているのか?それほどの力があるとは思えないが・・・。


「レフ殿ここは少し何かが違う気がする。上手く表現は出来ないのだが・・」


シャンタルもここの異様な雰囲気に違和感を感じているようだ。

しかしながら、今はダウジングの魔法の力を信じて進むしかなかった。


「うん?これは何だ?」

「えっ!どれの事だ?」

「シャンタルはこれが見えないのか?」

「だからどれだっての!」


森の大半を覆っているように赤い半球体の障壁のようなものがある。シャンタルには見えていないようではあるが・・・。


「この場所に薄く膜が張ってあるように赤い障壁のようなものがある」

「レフ殿はそれが見えなさるのか?」

「ああ、割とはっきりとな。さっきまでは見えなかったのだが・・・」

「我には全く見えないな」


これは結界とかいうやつではないのだろうか?

それにしてもおそらくシャンタルだけでなく他の者もこの膜のような半球体は見えてはいないはずだ。

だから、あの情報屋がここまで掴んでおきながら人に任せることにしたのだろう。


「おそらく・・・この先だろうな」

「お・おう!天狗というものを見たことないので少しドキドキするがな」

「よし!では向かおう!!」


俺はその膜の中に入った。すると、簡単に中には入れたのだがシャンタルがその場をうろうろしている。


「レフ殿ーーーー!!」


大きな声で俺を呼んでいるが実際ほとんど距離のない場所にいるのだが、どうやらわからないらしい。

ということは、やはりここは結界か何かの術が発動していてあっちとこっちは次元自体違うものなのかもしれない。


「たしか、天狗は呪術を使うと言っていたな。ということはこれもその力によるものなのだろうな」


俺は自分である程度の答えを出すとまた膜の外に顔だけ出してシャンタルを呼んだ。


「うわっ!!レフ殿頭だけになっておりますぞ!!首だけ浮遊してる!!」

「シャンタル落ち着け!!別に生首が宙を飛んでいるわけではない。とりあえず俺の手を取るんだ!」


シャンタルは声掛けに応じて俺の手を取った。

それと同時に俺は自分の方へ彼女を引っ張りこんだ。


「こ、これは・・・・?」

「やっと見えるようになったってわけだな」


赤い天幕の中に強引に引き込んだことでようやくシャンタルにも可視化したようだ。


「よし、ここからが本番だ」

「お、おうそうだな!」


少し不安を見せながらもシャンタルは同意して俺たちはいっしょに森のさらに奥に進んだ。


すると、太陽が急にまぶしく照り返してきた。まぶしく上の方を見やると今まで鬱蒼とした森が開けて円形状に広場のような場所が現れた。

そこに、木で作られた小屋のようなものがあった。


「な、なに?」

「どうした!!レフ殿!」

「あの小屋から何者かが異様な気配を纏ってこちらに向かってきている」

「??」


シャンタルは小屋のあたりをひたすらに確認していたが、やはり見えないらしい。俺にははっきり見える。かなりのスタイルの良い妙齢な女性が。

彼女はゆっくりとその力を見せつけるように俺の前までやってくると、一気にその力を解放した。


「??」


俺はすかさず戦闘態勢に入った。すると、彼女は急ににこっとした後にその力を一瞬で消し去った。そして、片膝をつけると言った。


「さすがは私の旦那様です。私に最初から気づいてくれていましたね」

「お、俺はあんたを嫁にした覚えもないんだが・・・?」

「そんなのは関係ありませんわ。これも何かの縁ですからね」

「お、お、お、」

「何をおおおお言っておられるのですか?そこの狼女は?」


この言葉には毎回、シャンタルは過敏に反応する。しかし彼女の気持ちもわからなくはない、力を消し去った途端目の前に急に女が現れて意味不明なことを言えば・・・


「お前こそレフ殿に無礼千万ではないか?」

「私、四字熟語とか苦手なんですけども?」

「な、なに~!!」


何だこの展開は?


(第26話につづく)




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現実最強の俺が異世界でブタだってよ? 廃車太郎 @ryujin_29

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