大きな輝石

幼い頃のボクたちはどこまでも走れた気がした

邪魔も壁もしがらみも何もなかった

理由の必要な繋がりがいつしか苦しくなちゃって

隣の足音が遅くなっていった


あの日々を馬鹿らしく思うほど

今のボクを 今のキミを 否定しているような気がした


一人で開けたタイムカプセル

意味のない丸い石を手にした瞬間

よく分からない涙があふれ出た

堤防に登って深呼吸

儚い淡い夏の香りがした

ため息を堪えて見上げた空には

手には届かない蒼の色


「何してんだろ」って小さく笑うボク一人


この港をボクたちはどこまでも走れた気がした

喜怒哀楽のうち怒哀しかなくなった

何もかも敵になった世界に苦しくなっちゃって

自分の足音すら聞こえなくなった


キミは今何を考えていますか?

今のキミが 今のボクを否定しているような気がした


知らずに作った壁がボクだけを囲っていく


もう何年も会っていないキミに


ただ


サヨナラ


そして


助けて


音の届かない壁の中からキミへ


最後の言葉を

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詩~My Color~ ミステリー兎 @myenjoy

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