【それでも俺は】積年の腰痛が原因で国とパーティを追放された勇者、行き倒れていたところを美少女エルフ整体師にゴキャァ!と整体してもらい完治する。「ありがとう、これで俺はまた戦える――!」【世界を救う】
第124話 どこかいつもと違うリヨンと、困惑する勇者
第124話 どこかいつもと違うリヨンと、困惑する勇者
「そうはいかないわ。区画整理のために、家屋を再興できないで避難している人がたくさんいるのよ。私の仕事が1日遅れたら、避難する期間が全員1日延びるんだから、ぐずぐず寝てなんていられないもの」
「それは俺がやっておくからさ」
「なに言ってるのよ。区画整理の図面を引いて、なるべく同じく地区の住民が一緒に住めるようにして、割り振った地区の便利不便で文句が出ないようにして。避難民の資料を細かく見ながら土地を割り当てるなんて緻密な作業を、クロウにできるわけがないでしょ?」
「あ、アリスベルかフィオナにやってもらうよ。ストラスブールだって明日には出張から帰ってくるしさ」
「もぅ、完全に他人任せじゃないのよ。あとストラスブールは休ませてあげなさい。私よりストラスブールの方がはるかに働いているんだから。ぽっくり逝かれでもしたら、文字通り国が止まるわよ? ストラスブール1人で、上級官僚100人分くらいの仕事をこなしてるんだから」
普段から激しくライバル視して口喧嘩ばかりしているストラスブールの心配を、リヨンがするなんて。
これは精神的にかなり参っているようだぞ……!
ちなみにストラスブールが100人分としたら、リヨンはリヨンで70人分くらいの仕事はしていると思う。
まさに国の
2人には頭が上がらない俺である。
えっ、俺?
俺は机の上に積まれたよく分からない書類に、片っ端からハンコを押すのがお仕事です……。
まぁ今は俺の話はいいだろ。
「分かったよ。だが俺は王様だ。みんなを使うのが仕事だ。多少無理させてでも、他の誰かを使ってなんとかやってみせる。だから今はリヨンはゆっくりと身体を休めてくれ。これは俺個人としてのお願いプラス、国王としての命令だ」
「ふぅん……」
「なんだよ?」
「私のこと心配してくれるんだ?」
「そりゃ長年苦楽を共にした大切な仲間が寝込んでいたら、心配もするだろ? 何年一緒にいると思ってるんだよ」
何を当たり前のことを言ってるんだと、俺は苦笑したんだけど――、
「……大切なのは仲間としてだけ?」
リヨンがどこかしっとりとした、艶のある声色で言った。
「えっと? どういう意味だ? 国民としてって意味ならもちろん大事だぞ。リヨンはセントフィリア王国にとって最も欠かせない人材の1人だよ」
「そうじゃなくて……クロウにとって私は、女としては大切じゃない?」
「女としてって――どうしたんだよリヨン。急に何を言い出すんだ?」
突拍子もないリヨンの言葉に、俺は思わず苦笑したんだけど。
「ねぇ、クロウにとって私は女として魅力的じゃない? どうなの?」
「魅力的か魅力的じゃないかって言われたら、そりゃ魅力的だよ」
俺にだけやたらと当たりがキツいことを差し引いても、リヨンは美人でスタイル抜群で、頭がよくて面倒見も良くて、本当に頼りになるからいつも頼みごとをしちゃうんだけど、あれこれ文句を言いながらも、きっちりやってくれてetc...
ありとあらゆる全ての点において、リヨンは本当に魅力的な女性だと思う。
ただ正直言うと、あまり女性としては見たことがなかった。
俺に対して、男としての好意を持っているようには感じなかったから。
「ありがと……」
俺の言葉に、リヨンが小さな声で嬉しそうに微笑んだ。
病床の身とはいえ、リヨンが嬉しそうに「ありがと……」なんて言うと、どうにも調子が狂うなぁ……。
リヨンには早く元気になってもらって、元気よく毒舌をしてもらわないと、物足りなくて俺まで調子が狂っちゃうよ。
そんな風に俺はリヨンをすごく心配していたんだけど。
それと同時に、俺の歴戦の勇者としての超感覚が、今はこの場を離れるべきだと警告していた。
何故かは分からない。
だがこの歴戦の勇者の超感覚は、過去に何度も俺の窮地を救ってくれた。
リヨンも大丈夫そうだし、ここは早めにお
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