叶わない夢の果て

@wandafuru

第1話

シェイクスピアは言った。

「今望んでいるものを手にして、何の得があろうか。それは夢、瞬間の出来事、泡のように消えてしまう束の間の喜びでしかない。」

僕はどちらかと言うと欲が強い方だ。

食欲にしろ物欲にしろ性欲にしろ。

どれにおいても自分の"欲"に従っては後悔の繰り返し。

食べたいから食べた。そして後悔。

欲しいから買った。そして後悔。

恋をして好きになった。そして後悔。

またしても彼は言う。

「恋は晴れたり曇ったりの4月のようだ。」

と。

桜のように可憐な彼女に恋をしてからもう5年も経った。

今彼女はどうしているだろうか。

大学に行って友達でも作っているのだろうか。もしかしたら彼氏ももういたりして…。

まだあの店でバイトしているのだろうか。

もし縁があれば話でも。

いやだめだ。彼女には彼女の人生がある。

それに無理に俺が入るのは些か申し訳ない。

でも好きな気持ちはまだ残っている。

こんな葛藤をあと何年続ければ僕は気が済むのだろう。

頭の中で、偶然彼女が現れて、偶然事故に遭いそうになって、偶然僕が助けて、偶然付き合って、偶然結婚して。と言う妄想を繰り返す。

自分の気持ち悪さはわかっている。

それに僕ももう大学生だ。

あの頃のように同級生であった彼女の明るさに惹かれていた、純粋な中学生ではない。

もう彼女のことは忘れて、新しい恋愛をしよう。



そう思えば、彼女は偶然現れるだろうか。

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