第2話 トンネル滑り台
森の中にある滑り台。森といってもそこまで深い森じゃない。せいぜいが裏山程度のところだ。ただその滑り台にはいくら歩いても辿り着かない。歩いて歩いて歩き続けてもう自分の居場所すらわからなくなった時、初めて見える様になる。
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森の中にある滑り台。僕は最近話題になっている滑り台に行きたいと友人と話しあって、日程を決めていくことにした。当日になって携帯を見ると友人が発熱したという連絡があった。まあ仕方がないと思ったがなんとなく滑り台が気になって僕1人で行くことにした。森へ入って印をつけながら森の中を歩く。数十分歩くと赤い建物が見えた。近づくとそれは公園の遊具にある様なトンネル型の滑り台だった。2メートルくらいの小学校低学年用の滑り台のようでなぜこれが噂になるのかわからないくらい平凡だ。下から覗いても入り口が見えるだけでなんてことはない。いつもの僕ならそんなもの興味を持たずさっさと帰るだろう。けれどもまだ数十分歩いただけだったからか滑ってみようという気になった。
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森の中にある滑り台。これを滑るためにちょっとした子供騙しのアスレチックを登って滑り台の入り口に立つ。腰をかけていざ滑ろうとすれば何かに引っ張られる様に滑り台に吸い込まれる。一瞬で滑れるはずの滑り台は全く終わりがない様に感じる。ただ陽の光が透けて赤く光る滑り台の天面をぼんやり見ることしかできない。だんだんカーブが強くなり天面と地面が反転したり横に向いたりぐちゃぐちゃになる。酔ってくるからか耳鳴りが起き、そのうち自分の意識は弱くなる。
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森の中にある滑り台。小学校の時に住んでいた家の近くに実際にある。小学生でよく見る夢で、同窓会のために帰郷した時にまた見始めた。トンネルの中で彼は何かをしている。それを起きた時に思い出した試しはない。
思想・妄想の倉庫 竹梅 @Ume-suke
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