第38話 黒の国を奪還 ヴァン伯爵の最後
それは 少し前の出来事の御話
黒の国では・・
黒の国 元の黒の王宮では そこで暮らし 執権として黒の国を治めてたヴァン伯爵
ヴァン伯爵は黒の王子アーシュラン達に追い詰めれて この黒の王宮の中で
今にも殺されそうになっていた・・
王宮は所々 燃えて また酷い有様だった
「聞きたい事がある・・ヴァン伯爵」
リュース公が鎧を身に纏い リュース公が持つ血まみれの剣を
大きな怪我を負ったヴァン伯爵に突きつける
そこにはアーシュランと戦士セルトがいた
「聞きたいのは 死体が見つからなかった テインタル王女とエリンシア姫だ
彼女達は 無事なのか? 巨人族の王の所か?」
「私は知っているぞ!エリンシア姫に乱暴したという話・・」
冷静に リュース公は言う
「ハハッ・・
最初は その戦士セルトの目の前で この黒の王宮で 私の兵士達が汚した・・
その頃は 魔法具で 心を封じていたからセルトは覚えてはいないだろう」
顔色を変えるセルト
アーシュランがセルトの心を封じていた
ヴァン伯爵に従うように作られた魔法具を壊して
そのセルトを解放して セルトがアーシュランに忠誠を誓ったのは ほんの数か月前の事・・
「その後で 私が姫を抱いた
美しいオッド・アイの瞳に金の髪 白い美しい美貌に身体
素晴らしい夜だった!抱かれて泣いている様も美しかった」
「・・・」無表情で立ちつくすリュース公 アーシュラン達も黙って聞いていた
「エリンシアは 懐妊してた あれは 黒の王の子か? それともお前の子か?
リュース公?
何度も犯してやったから 子供は流産したが・・」口元から血を流しつつクククッと笑う
「私の子供だ・・」リュース公は言う
「そうか!あはは!」笑うヴァン伯爵
「テインタル王女の事は知らない・・兵士に殺されたのでは?
エリンシア姫は 私や兵士どもに乱暴され 子供を流産して まもなく
ある晩 牢屋の中で息耐えた」
「エリンシア姫の亡骸は?」
「あの樹海 パンプローナの森の奥に捨てた
死体は獣に食われて もう探し出せぬだろうさ・・」
ヴァン伯爵にリュース公は 剣を突き刺し まず手足を切り落として
悲鳴をあげるヴァン伯爵にとどめを刺すリュース公
肩で息をつきながらリュース公は言った
「どうか 今 丁度 この場にいないアルテイシアには ご内密に
エリンシア姫は私の花嫁になる御方でした」
「アルテイシアもたいそう姫を気にいって
母と呼んでもいいと 以前話をしておりました」
悲し気に リュース公は言う
「白の国の噂話で聞いた事がある・・
エリンシア姫はエイル、エルトニアの本当の母親か?」
アーシュランは問う
「さあ・・私は知りませぬ」
何故かリュース公は真実を知らぬふりをした
「そうか いずれにしろ エイルの実の叔母で エイルが
とても慕っていたとエイルの父親から聞いていた この話は噂にならぬように
伏せておこう・・」
「やる事がいっぱいだ リュース公 セルト
この黒の王国を完全に取り戻し
黒の王宮をはじめ 城下街の壊われた建物を復旧させ
奴隷として売られている黒の貴族の子供や妻達を助けだす・・
巨人族に連れて行かれた者達は 救い出せないが・・」
アーシュランは言う
「それに加えて 戴冠式をされて 正式に黒の王とならねばなりません王子」
リュース公
金の髪が風に揺れる
リュース公リジャイアヌス
白の国の王族、貴族の血を受け継いだ彼の美貌
その顔には血飛沫がつき そっと手で拭う
「ああ・・そうだなリュース公」アーシュラン
「ところでヴァン伯爵の家族や縁者はどんな処分を・・?」リュース公
「ヴァン伯爵は 前の黒の王妃アリアン様の実家でもある・・。」
「自害したもの以外は 命だけは助けてやろう・・」
「ずいぶん 寛大な措置ですね よろしいのですか?」
「黒の王妃アリアン様の為だ」
「あんなに アリアン様には 酷い目にあわされたのに・・?」
「俺は あの人が好きだった・・本当に美しい人だった
俺が王の庶子でなかったら
その事実を知らぬ僅かな間だけでは あの人はとても優しかった」
出会って わずか数時間だけの間の出来事
淡い恋心となるのに時間はかからなかった
タルベリイがその事実を黒の王妃知らせるまでは・・
そのわずかな時間だけは 美しいあの人は 微笑んでくれた
とても優しかった
アーシュランが優しく類まれなる美貌の黒の王妃アリアンに
心奪われるのには 十分な時間だった
そしてテインタル王女
人族の血を引く俺を慕ってくれた 美貌の黒の王妃アリアンによく似たあの王女
美しく可愛らしい笑顔を見せた少女 俺の異母兄妹 妹
「アーシュラン兄様が好きよ」
そう言ったテインタル王女のあの笑顔を思い出す
そして 父親である 前の竜の王(ドラゴンロード)黒の王
片方だけの金色の瞳で 見つめながら
別れ際に「・・お前は生き残る」と言った王
子供の頃の・・ あの頃は信じなかった
きっと白の宗主か巨人族か誰かに 処刑されて殺されると思っていたが
哀れな最後を遂げた 白の国からの人質・・エリンシア姫
一度だけの束の間の出会い
穏やかで優し気な風情の美しい姫
エイルによく似た顔立ち 美しいオッドアイの瞳
羽琴の姫君
アーシュランは大きく息を吐く
「アーシュラン様! お父様! セルト!」別の場所で戦っていたアルテイア姫がやって来た
「では 先程の件は どうぞ内密に」とリュース公
「ああ わかってる」アーシュラン
「セルトも・・」振り返ってセルトを見ながらアーシュランは言う
「はい承知しました」セルトは答えた
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