第21話 幼なじみの絆~永遠の恋人~

バスルームから出ると


ベランダに出ている志伸の後ろ姿。




「…志伸…?」


「なあ」と、背を向けたまま私に話しかける志伸。



「何?」

「お前…変わったよな…?」

「えっ?変わった?そう?」


「前のお前はさ…泣きたい時に泣いてた気がすんだけど…何を、そう変えたんだ?」


「えっ?や、やだなー、気のせい…」


「幼なじみの俺だからこそ弱い所、見せてたじゃん!電話とかメールとか速攻してきて愚痴とかいっぱいしてきて…」



私が言い終える前に言葉を遮ると振り返り話し続ける志伸。



「そうしたら何だよ!あの日は!あの後電話してもメールしても一切無視して連絡1つも寄越さねーでさ!スッゲー心配したんだぞ!」


「…そ、そんなの!出来るわけないじゃん!女の人と一緒にいる様子だったし…」


「こっちから連絡してたんだからメールくらい送れるだろ?」


「…りだよ…無理だよ!私達は、もう別々の道歩いてんだよ!」


「別々の道って…それは…お前の勝手な思い込みだろう?」


「違うよ!私達は…ただの幼なじみなんだから!」



部屋に入って来る志伸。




「お前は…幼なじみなんだな」

「そうだよ!」



「………………」



「俺さ…中学ん時、日本経つ時、余程、お前に気持ち言おうって思ってた」


「えっ…?」


「だけど、また日本に戻って来る予定だったし気持ち言うのは辞めた。もし、日本に戻って来て、お互いの気持ちがあったら同じ道を歩もうと思ってたけど、お互い更々なかったし」


「…そんなの当たり前じゃん…ていうか…私達…相思相愛だったって事…?」


「そうだけど?」


「えっ!?つまり志伸、知ってたの!?」

「ああ。見てれば分かったし」

「…恥ず…だったら言ってくれれば…」

「言った所で遠恋(遠距離恋愛)じゃん!俺、無理!」

「私だって無理だし!」



「………………」



「なあ、お前、今後どう考えてんの?」

「今後?何を?」

「合コン三昧で男見つけんの?」

「…それは…考えてない…つーか…恋愛は抵抗…ある…かな…?」

「そうなんだ。じゃあ一生独身貫くんだ」


「えっ…?いや…それは…つーか、そういう自分はどうなわけ?」

「俺に振るんだ」

「だって…」




歩み寄る志伸。



「な、何?」



フワリと抱きかかえられた。




ドキッ


「えっ!?ちょ、ちょっと何?」



ドサッ


ベッドにおろされたかと思うと私の上に股がり、両頬の近くに両手を置くと片頬に優しさしく触れる。




ドキン



「…志の……」




ドキッ


キスされた。



今まで見た事のない志伸の眼差しに胸がドキドキ加速する中、胸がざわつく。



「…志…伸…?ま、待って…」




私は志伸を押し退け、ベッドから降り立ち上がる。



《ヤバイ…ちょ、ちょっと…》

《…志伸の行動が…》




フワリと背後から抱きしめられた。




「……!!!」



「…俺の傍にずっといて欲しい奴、もう二度と手離さないって決めた奴いるから」



ズキン



「…だったら…私なんか…」



うなじにキスされ、洋服がずらされた。



「…ちょ、ちょっと、志伸…」

「優華、お前、誰と思ってんの?」

「だ、だ、誰って…」



振り返らせると向き合う私達。



「つーか…パニクり過ぎだろ?」


「し、し、仕方ないじゃん!第一、こういうの慣れてないし!ましてや幼なじみの、志、志伸が…こんな…っ…!」



再びキスをされ、深いキスをしてくる。




「幼なじみだけど恋愛のパートナーで人生のパートナーでも良くね?つーか…今まで色々あったけど、もう…遠回りすんのはゴメンなんだよ…」


「…志伸…」


「もう傷つかなくて良いから…俺の傍にずっといろ…優華…」



ドキン



「ゆっくりで良いから幼なじみの絆がある限り…縁は切れないし、一人の男と女として付き合っていこう」


「…その言葉…もっと早く聞きたかったよ…そうすれば私だって傷付く事なかったのに…だけど…私は…まだ…」


「ゆっくりで良い…だけど…1つだけ…お願いがあるんだけど…」


「何?」


「抱いて良い?」



ドキーーッ



「…えっ…!?…だ、抱いて…良いって…ちょ、ちょっと!どストレート過ぎ……っ…!」



キスをされた。



「幼なじみのまんまから少し進展あっても良くね?」

「私は初めてなんだけど!」

「だったら尚更、初めての相手くらい後悔しない奴に」

「あのねー、簡単に…」

「はいはい。分かりました。無理強いはしねーよ」



そう言うと、ベッドに入って行く。



「ほら!寝るぞ!」

「ね、ね、寝る!?」

「過剰に反応し過ぎなんだよ!」

「だって…!」



グイッと引き寄せ、ベッドに引き摺り込ませる。


ドキッ



私に背を向ける志伸。



私は志伸の背中に顔を埋める。




「………………」



「…ゴメン…」

「ゴメンって何?」

「…いや…何となく…」

「何となくって何だよ…」



私の方に体を向けると、片肘をついて頭を乗せる仕草をしては、私の髪を撫でる。



ドキン


いつになく優しい眼差しに胸がざわつく。


私は志伸の片頬に触れ無意識にキスをした。



「わわ…ゴメンっ…!」

「ゴメンって…あのなーー…」



私の両手を押さえつけた。


ドキン



「我慢してんのに、あんまり刺激すんの辞めろよ」

「だったら…我慢しないで…私を志伸のものだけにして…」

「…えっ…?」

「…お願い…」

「…別に…良いし…無理すんなよ」




「……………」



「…優華…?お前…マジ…?」




私はゆっくりと頷いた。



「何かスイッチ入った?」

「…えっ…?ス、スイッチ?」

「そう?スイッチ!」

「…そんなの…っ…!」



キスをされ深いキスをされる。


志伸は洋服を脱ぎ私の身体に触れていく。



「大丈夫か?今ならまだ…」

「良いよ…志伸だから…」

「…優華…」

「1つになろう…志伸…」

「…分かった…本当に良いんだな?」




私はゆっくり頷く。







告白して


付き合っていって


関係持つ


それが本当の流れなんだよね…?




だけど


成り行きの関係って


それっきりで


それだけの関係にしかなれなくて




でも……



私は後悔しないって


そう思った




20年間の間


お互い個人的な事情で


ブランクはあったけど


私の隣には


いつも志伸がいて


馬鹿しあって騒いで




本音で話し合える


幼なじみという絆があったから




私達は永遠の絆で結ばれていた


きっと これからも ずっと永遠に・・・







~ The Fin ~




ご愛読ありがとうございます♪





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