第20話 あの頃には戻れない?~あなたの前なのに~

あれから志伸から連絡はあったものの私は全てスルーしていた。

電話も、メールをくれたりとしてくれたものの私自身が返す事はなかった。


彼・伸悟さんとは直接話をした。


『寂しかったんだ。騙すつもりはなくて君の事は本気だった』


そう言われた。



ある日の事。



♪♪~…


『優華、志伸に連絡してあげたら?心配してるよ』



♪♪♪~…


『うん…いつかね』



♪♪~…


『優華、誤解したままだから志伸が連絡欲しいらしいぞ』



♪♪♪~…


『そのうちね』



♪♪~…


『何、意地張ってんだよ?』

『素直になれば?』



♪♪♪~…


『別に意地張ってないよ』

『ごめん…2人に迷惑かけて。大丈夫だから』



智香や将斗からも連絡あったものの、結局、連絡しないまま。





そしてある日の事だった。



「優華ちゃん、ちょっとお願いがあるんだ」

「愛吏ちゃん、何?」

「頭数足りなくて…参加して欲しいんだ」

「…頭数?合コン?」

「そう!駄目…かな?」


「ううん!大丈夫だけど…私…色々あって…ちょっと羽目外して良いかな?」


「そうなんだ」


「うん…合コンを乱す事はしないから。乱したら空気悪くなるからね。迷惑かけないようにするから」


「分かった」





そして────




「後一人、ちょっと遅れるらしいから先に始めてて良いって」




しばらくして─────



「悪い!」

「あっ!志伸、こっち、こっち」



ドキッ


声のする方に目を向ける。

視線がぶつかる。



「へぇー…お前生きてたんだ」


「遅れて登場した挙げ句、私に来て早々、ムカつく一言どうもっ!」


「テメー、俺がどれだけ心配してたと思ってんだよ!」


「何?2人とも知り合い?」


「幼なじみなんだけどさー、コイツ誤解したまんま。連絡してもスルー。なー、深沢優華さん」


「うるさいな!」


私達は再び合コン開始し、私達の幼なじみの話で盛り上がる。




しばらくして─────



「優華ちゃん、起きて」

「ん…もう少し…」

「…どうしよう?」


「愛吏ちゃん良いよ。大丈夫。俺が介抱して面倒見るから。彼氏待たせてんでしょう?」


「…でも…」


「大丈夫!俺、コイツに話があるから」



「愛吏、彼女どんな様子?」と彼氏。


「うーん…」


「2人とも心配しなくても俺がコイツ連れて帰るよ。今日はサンキューな!コイツに話があったから丁度良かったよ」


「そうか?じゃあ志伸に任せるか?」




そして2人は帰って行く。


俺は、コイツをJ自分のマンションに連れて帰る事にした。



「ん…」



目を覚ます私。



「…あれ…?ここ…何処…?…えっ!?…もしかして…私…お持ち帰りされた!?」



ガチャ

バスルームのドアが開く。



ビクッ


ドクン… ドクン…




《どうしよう?》




人影が現れる。



ドキッ



目が合う私達。



「…志伸…!?」


「よー、よく眠れたか?見慣れない部屋だから、お持ち帰りされたと思ったか?」


「…それは…」


「コーヒーでいいか?」


「うん…私の事、放っておけば良かったのに」


「出来る訳ねーだろ?何かあったらどうするんだ?第一、俺、話があったし。で?あの日、何かあったのか?」


「えっ?」

「まあ…話しにくいなら無理に聞かねーけど」

「…不倫…してたんだ…」

「…不倫…!?は?お前マジで言ってんの?」



私は頷く。



「だけど!相手が、まさかそういう人だって知らなくて…向こうから告白されて…ゆっくり付き合っていってて、マジになって恋人として付き合おうって…想いを言おうとしたら、偶々、相手のマンションの近くに来た時、子供と奥さんの姿」



「………………」



「会社の人だったから、尋ねたら寂しかったって…私の事…本気だったらしいけど…」



「………………」




「…本当…私って男運ないな…最悪…この際都合のいい女とかになった方が良いのかな?私…志伸いなかったら…ここには存在してなかったかも…ごめん…シャワー…借りて良い…かな…?」



「あ、ああ」

「着替えは適当でいいけど…」

「ああ、用意しとく」




私はバスルームに行った。





本当は泣きたかった


でも涙なんて見せたくない自分がいた


幼なじみなら


さらけ出せばいいじゃん?



とは思うけど


何処かさらけ出せない


自分がいた



何を こうさせているのだろう?


10代の頃は


純粋で真っ直ぐで


泣きたい時は 泣いてた……




大人になるにつれて


汚くなって


純粋さなんて 失われてる


意地張って 強気な事を言って


本当は淋しくて


泣きたくて仕方がないのに


平気なフリして


笑顔を見せているんだよね…?

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