第6話 ご用意いたしました
冒険者ギルドマスターのラガストの依頼を受けた俺様は先にお金を貰ってから、テレフォンブックを使用した。
これには理由があり、まずテレフォンブックからアイテムを購入する必要がある。
その時にお金が生じており、今回で言うと回復ポーションSSSだが本にはビタミンジュースとも表示されてある。それは20本セットで10万データとされる。つまり10万ゴードとされるわけだ。
10万データのまんま販売すれば俺様には利益は生じない、利益を生じる為に冒険者ギルドマスターには20本を30万ゴードで転売するのだ。5セットだとこちらは50万しかテレフォンブックに支払っておらず、報酬は150万となる訳だから利益は100万データという訳だ。
そんな感じで書類フォルダーを1000個購入し利益が50万データ。
冷蔵庫を20個購入して利益が1000万データ。
風力発電を3台購入して利益が3000万データ。
自転車型発電を10台購入して利益が3000万データ。
俺様は初めてのトータルでのありえない額に腰を抜かそうとしていた。
そこからテレフォンブックに支払うお金があり、総額は減ったのだが利益が信じられない数値を刻んでいるので、やはり俺様の両手はぴくぴくと震えていた。
ありえない額を平然とこの冒険者ギルドマスターは魔法の鍵がかかった机の引き出しから取り出して見せている。
というかどれだけの量が引き出しに入っているのだと俺様は突っ込みたくなった。
「これは魔法ロック式のアイテムボックスなんだ」
その説明で俺様は納得した。
こちらもテレフォンブックをアイテムボックスのように使用する時があるから、それは理解出来る。
「では、どこに出現させるか教えてくれないか」
「ああ、いいよ、ちょっと重たい腰を上げないとね」
まるで数年も椅子に座り続けていましたといわんばかりに重たい腰をゆっくりと上げるラガストギルドマスターその時の彼の身長に俺様とどうやらナナニアもびびったようだ。
「ギルドマスターはとても大きい方なのですであります」
受付嬢のテニーさんが説明はしてくれるも、俺様の頭4つ分以上の背丈はあるだろう。
「よし、いこうか」
裏口が魔法の力なのかラガストさんが通ると大きく変形した。
彼等は外に出ると、また扉は魔法の力で閉じられた。
どこからどう見ても冒険者ギルドの壁にしか見えないのだから。
「先にポーションをくれないか」
そういえば最初に実費をきって取り出した回復ポーションSSSランクがあり、アイテムボックスであるテレフォンブックにしまっておいた。
いつか売れるその日まで、それから自分が怪我した時までに取っておこうと思ったからだ。
まずは20本の5セットをテレフォンブックから取り出す。
小さな箱が出現すると、その中には100本の回復ポーションSSSが綺麗に収まっており、ロゴは黄色でビタミンジュースという絵柄が表示されている。
「異世界ではこれをビタミンジュースと呼ぶらしいですね」
「そうだと思いますよ、その回復ポーションは冒険者達に配るのですか?」
こちらの問いかけに頷くギルドマスター。
「まずは自分のアイテムボックスにしまって渡そうと思うよ、さて次は風力発電を頼みたいのだが、見ての通り辺りは貴族の建物ばかりだろう?」
「はい、そう言えば冒険者ギルドの回りは貴族の邸宅ばかりですね」
「それも仕方がない話だ。まともな貴族の時代の時は冒険者ギルドと協力していたんだ。だがここ最近の貴族はまともじゃないからなぁ、彼等も別な国に行ってしまった事だし、この建物は破壊しよう」
「そうですか、どうやって破壊するのですか?」
「普通なら大工とかを呼びたいが、その時間もないだろう、自分の力で破壊するまでさ」
そう言うとラガストギルドマスターは何もない背中から何か武器を出現させていた。
それは斧の形をした双斧であった。
銀色に輝くそれは魔法付与をかけられている証であるようだ。
「自分の武器はね、止まると空気中から魔力を吸いこむんだ。その間武器は透明になるんだよ、原理は分からないが遥か昔にダンジョンで採掘されたと祖父が言っていた。まぁその祖父も健在なんだがね、意外と有名だよ、さて君達にギルドマスターの強さというもの披露してあげよう」
ラガストギルドマスターはゆっくりと右腕と左腕を盛り上げた。
まるで重たい双斧を持ち上げるように慎重に壊れ物でも扱うように上げる。
「破壊竜斧=バカイリュウフ」
その言葉を張り上げて、それは起きた。
建物が見えない斬撃により吹き飛ばされたのだ。
しかもあちこちに飛散するわけではない。
「空中束縛=グランテゴラド」
また何か呪文みたいなものを叫ぶギルドマスター。
多種多様な瓦礫は次々と片隅に高く積みあがっていった。
「ちょっとお聞きしたいのだが、この破壊された物はこちらが貰ってもいいのですかな?」
「ああ、もちろんだとも、そのような瓦礫をどうするんだね?」
「こうするんですよ」
俺様はテレフォンブックを瓦礫に向けた。
【瓦礫を吸収してデータに変換しますか?】
「そうしてくれ」
ダンジョンブックの声を聞いて頷き。
次の瞬間、見たこともないような景色が生み出された。
「ほう、その光景はすごいなぁ」
まるで竜巻のように瓦礫がテレフォンブックに吸いこまれていくではないか、全てを吸収し終えると、テレフォンブックには1億5000万データと表示されていた。
これには俺様もその額を見たナナニアも仰天していた。
「ではここら一体の貴族邸宅を破壊しつくそうではないか、久しぶりに物を破壊する楽しみを感じているし、ゴミはテレフォンブックとやらが吸収してくれるから安心できるな、がっはっは」
巨体のラガストギルドマスターは笑っていた。
俺様もとんでもない額が手に入ると思うと笑うしかなかった。
それから冒険者ギルドの周囲を埋め尽くす貴族邸宅を破壊しつくすと、その瓦礫をテレフォンブックが吸収しまくるという、意味不明な商売が始まり。
結果的に稼いだお金は1兆データを超える事になった。
もはや国を作れそうなレベルに緊張しつつ、この大金を上手く運用していかないといけない、なぜなら1兆データは1兆ゴードにもなるのだから。
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