お父さんに挨拶に行きます

「最近どう?」

「どうってなにが?」

「なにが好きでなにが嫌いか分かるようになった?」

「うん」


 2人はもうすぐ3年生になろうとしていた。日菜子はバイトを始めた。週2回のコンビニのバイト。最近彼女はできるだけ地味な格好をしている。

 彼女は新しい試みに刺激を受けた。嫌な客にも当たったし、それなりに理不尽なことも起きた。それを優斗に話した。バイトの愚痴なんて普通は誰も聞きたくはないが彼女にとっては変わるきっかけだった。


「優斗のことが好き」

「うん」

「離したくないな」

「僕も」

「でもキスしたいって気持ちにはならないかな」

「うん、いいよ」

「待っててくれる?」

「僕は2人で過ごす時間が好きだよ」

「優斗って本当に尽くすタイプだよね?」

「そうなの?」

「忠犬って感じ?」

「そんなに犬っぽい」

「あはっ」


 日菜子は人間不信だった。そんなことを言われても今の彼らを見た人間は信じられないであろう。


「お父さんはどうする?」

「結婚の挨拶でもするの?」

「仲直り」

「ちゃんとしないとダメ?」

「したほうがいいよ。少なくても日菜子の気持ちを伝えることが日菜子のためになるから」

「……わかった」

「がんばって」

「私どこかで怖がっていたと思う。なにも変えないのって楽だから」

「日菜子はいい意味で変わったよ。だから自信を持って」

「うん」


 日菜子は父と和解した。ちゃんと話し合い、いままで育ててくれたことを笑って伝えた。父は驚き、涙を流した。日菜子もまた父の意外な一面に驚き涙を流した。最後はお互いに笑いあい彼女らは普通の親子になった。



 □ □ □



「ほら、姿勢伸ばして!笑顔で挨拶しないと!」

「分かってるよ」

「うちのお父さんはきびしいぞー」

「うぅっ。会社の面接よりも緊張するよ」


 優斗は日菜子の父に挨拶をすることになった。2人とも就職先は内定し、1年後には社会人になる。2人はきちんとした格好で挨拶することにした。


「久々に思うけど君って美人だよね」

「そうでしょ?内定も楽勝よ」

「就活ってふてぶてしい人選手権だったっけ?」

「そんなに余裕なら大丈夫ね」

「痛っ」


 日菜子が優斗の背中を思い切り叩く。彼らはお互いに腹をさらけ出して話せる関係になっていた。


 人生の財産は人それぞれだ。そのひとつに最良のパートナーを得ることが含まれると思う。










『あとがき』


 ここまで読んでくれた方ありがとうございました。

 未熟ながら最後まで書ききることができました。


 いろいろと後悔がある分、次回作を精力的に作っています。

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人生が変わるのは女性との出会いだ みそカツぱん @takumaro123

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