弱者男性でも恋がしたい！

第1話 恋とは

「彼女ほしいなぁ…」

今年でもう25歳になった。

いつ頃からこの言い方が流行りだしたのかは覚えていないが、世間では僕くらいの年の頃からアラサーと呼ぶらしい。

もう学生のような若さはなく、大人としての落ち着いた振る舞いが求めるられる時期が僕にもやってきたのだと僅かに自覚する。

大人になるためにはどうしたらいいのだろう。成人式に出れば大人になれるわけではないということは頭の悪い僕でも分かることだ。

大人になるための通過儀礼とは何かと考えた時に頭に浮かぶのはやはり結婚の２文字。

生まれてこの方結婚どころか恋愛すらしたことのない僕は世間一般からすれば幼子も同然なのだろうか。

友人たちが大人になっていく中で自分だけが目標も目的も持たず夢遊病患者のように世間をふらついているような感覚に囚われる。

自分が一体何者なのかと尋ねても沈黙しか返ってこないような薄っぺらい人生。

こんな自分から脱却するにはやはり恋か。恋なのか。

恋愛のことについては考えるだけで気が重くなる。

主観的に見ても客観的に見ても容姿が優れているとは思えないし、誇れるような学歴もなければ目を見張るような年収もない。そもそも今の僕の状況といえばコンビニのアルバイトだから同世代の平均年収よりも大きく下回る。

唯一他人から褒められる所は180cmを超える身長くらいなものだけどガタイの割に非力な僕にとってはコンプレックスでもある。

こんな欠点だらけの僕が人と恋をしたいだなんて傲慢だろうか。

あぁ、それでも

「彼女、ほしいなぁ…」