World-Seed-Online「世界創生」

@dhion

真WS5

第1話「WorldSeedOnline V」

 2025年、日本が誇るゲームクリエイター界の伝説

 金坂浩輔が作り上げた未だかつて無い新感覚オンラインスマホゲーム「WorldSeedOnline V」が全世界で

 大ヒット。リリースから1ヶ月で全世界1億ダウンロードを突破し、その人気は他のアプリの追随を許さず、今人気のスマホゲームランキング第1位をリリース当初から1度も逃すことの無いほどだった。



「ただいま」

 凌吾は玄関のドアを閉めるとすぐに二階にある自室へと向かった。

「兄ちゃんおかえり、今日もやるの?」

 二階に上がると弟の恵吾が部屋から出てきた。

「ああ、悪いけど今日の晩飯当番変わってくれないかな、今日は7時から金坂浩輔が直接出てきてセンターワールドで新イベントの告知をするんだ」

「何それ、ご飯より重要なの?」

 恵吾がため息を着くがお構い無しに凌吾は話を進める。

「なぁ頼むよ、やってくれたら明日と明後日は俺が当番やるしお前の好きな物なんでも作ってやるからさ」

「その約束、忘れんなよ兄ちゃん」

 そう言うと恵吾は1回へと降りていった。凌吾は自分の部屋へ入ると急いで寝巻きに着替えて棚からゴーグルを取り出した。

「プラグはどこへやったかな…」

 引き出しからプラグを引っ張り出してスマホとゴーグルを繋げると凌吾はスマホの電源を入れ、「WorldSeedOnline V」を起動した。

『プレイヤーIDとパスコードをお願いします』

 ゴーグルをした凌吾の目の前にプレイヤーIDとパスコードの入力画面が現れる。

「プレイヤーID(リョウゴ)、パスコード(higami 0905)」

 凌吾はそのままベッドに寝そべり目を閉じた。

『プレイヤーの健康状態を確認中…確認完了、プレイ可能数値クリア…ようこそ自由と想像の世界へ』

 凌吾が目を開くとそこは広大な平原にポツンと1本生えた大きな輪樹の下だった。

「おせぇぞリョウゴ、お前が5時半集合って言うから待ってたのによォ、20分も遅刻するとはひでぇじゃねえか」

「悪いなザイオン、少し用事があってよ」

 リョウゴはザイオンに一言謝ると、自分のヘルスを確認した。

「ザイオン、遅れた上にこんな事言うのは失礼なんだだが、お前なんか食べ物持ってないか?実は俺の空腹値がもう10分の1切ってるんだ」

「おいおい、待たされた上に食い物まで差し出すのかよ、まぁいいけどよ」

 ザイオンはアイテム欄から焼いた牛肉を渡した。

「サンキュ、マジで助かったよ、俺この前のダンジョン攻略でまともな食料使い切っちゃっててさ」

 礼を言いながら凌吾は牛肉を食べる、あっという間に空腹値は満タンになった。

「知ってるぜ、難関と言われたスケルトロンをぶっ倒したんだろ?センターワールドじゃとんでもない噂になってんぞお前、で?もちろんボスアイテムも入手したんだろ?」

 リョウゴは持ち物欄から「白骨のコート」を装備してザイオンに見せた。

「ほぉ、随分とかっこいい装備じゃねぇか、性能はどんなもんだ?」

「防御力60、スピード75、パワー45、アクロバット70、あと特殊効果で対スケルトン系統がついてるって感じかな」

「すげぇ優秀じゃあねぇか、防御力60なんて今判明してる装備の中じゃTOP5に入る、それにスピード75なんてダントツTOPの数値じゃねぇかよ」

「確かにスピードと防御力は文句なしだけど、パワーが弱い、45じゃ多分ダンジョンの5階層以降じゃ通用しない、俺のパワーと足しても230じゃ、まぁ80点てとこかな」

「欲張りすぎだぜリョウゴ、パワー足んねぇんならポーションでも他の装備でも付け足せばいいじゃねぇか」

「まぁそんなんだけど…」

 ザイオンはハッと思い出したような素振りをしてリョウゴの方を叩いた。

「そういえば今日は俺に新スキルの使い方教えてくれるって約束だったじゃねぇか」

 リョウゴは首を傾げた

「そうだったか?」

「忘れてんじゃねぇよ、ったくお前はよォ」

「まぁまぁそう怒るなよ、で、なんのスキルだっけ?」

「これだよこれ、このスキル」

「なんだよ全然普通のスキルじゃねえかよ、こんなのも使えなかったのか?」

「うるせぇ、お前と俺じゃレベルが違うんだよ、前は歴代のWS全部プレーしてんだからそのぐらい簡単に出来るんだろうけど俺は違う訳」

「はいはい、分かったよ悪かった、じゃあ練習しようか」



 ジリリリリリリッ、と音がしてリョウゴは時間を見た。

「うわっ、もうこんな時間じゃないか、おいザイオンもうそろそろ告知の時間だ、センターに戻らないと」

「なにィ!?もうそんな時間か?急がねぇとな」

 ザイオンは最後のモンスターを倒して剣をしまった。

「なんの通知が来るか楽しみだな、なぁリョウゴ」

「…行くぞ」

 2人は簡易ポータルでセンターワールドに向かった。


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