【2010年 実写化映画】郷倉四季が気になった作品。

『郷倉』


 ちなみに、シーサイドモーテルをyoutubeで調べてみると、

「映画『シーサイドモーテル』男だらけの顔だしコメンタリー」

 という動画でてきて、メンツが山田孝之、玉山鉄二、古田太、池田鉄洋で、酒を飲みながらコメンタリーをするような内容でした。


 そういう企画から見るにターゲット層は決して十代や学生ではなかったようですね。

 では、まとめたいと思いますが、倉木さんの2010年のベスト作品は何になりますでしょうか?


『倉木』


 シーサイドモーテルがベスト作品かな。あくまで現時点では、です。


 てなわけで、こっちからも質問させてや。

 質問というか、僕への質問内容をそっくりそのまま答えてほしい。

 解答をきく中で、見たくなってベスト作品が変わるやもしれん。


 あと、オフレコでワーストきめたいなぁ。


『郷倉』


 はい、なんでも答えますよ。


『倉木』


 じゃあ、語ってください。

 司会が絶望的なまでに投げやりw


『郷倉』


 ワーストの話がでましたので、その話をしたいと思います。

 と言っても好き嫌いとは別で、この対談では語るべきことが少ない作品、という意味でのワーストになります。


 なんて前口上で言い訳している僕、ダサいなぁ。

 まぁいいか。


 個人的なワーストは「BECK」になります。

 もちろん、褒めるところがない作品ではないし、佐藤健が主演しているので、「るろうに剣心」の流れを説明する上では重要な作品だとも考えました。


 ただ、どうしても「BECK」のラストシーンが引っ掛かり、ワーストとさせていただきました。見たことのある人は分かると思うのですが、ラストで佐藤健が大勢の観客の前で歌うシーンがあって、そこで声を入れずに雰囲気だけで、なんか凄いっぽい歌声が響いているらしい、という演出をしました。


 2021年、現在から振り返れば「ボヘミアン・ラプソディ(2018年)」という圧倒的なライブシーンによって、感動を生みだした映画があります。

 あの感動的なライブシーンを見たくて、何度も映画館を訪れた方もいました。もちろん、クイーンの楽曲が素晴しく、物語もクイーンの伝記的な内容です。

 歴史的な凄味がそこに潜んでいるのは確かです。


 しかし、それでもライブシーンで声を削る、という演出は肩透かしを食らってしまう印象が強かったです。

 これは同年の「ソラニン」にも少々言える点ではあるのですが、この時期の漫画原作の実写映画は総じて原作ファンを怒らせない為の作品作りをしている印象があります。

 おどおどしている、というか、必要以上に失敗を恐れてしまっている感じです。


 いやまぁ、映画って僕が考える以上に大きなお金が動いているので、原作ファンを怒らせず、失敗しない為に慎重になってしまうのも分かると言えば、分かるんですけれども。


『倉木』


 少しおどおどしてる印象って、わかるで!

 なんか、ターゲットを絞ってなくてふわふわしてる。


『郷倉』


 そうなんですよね。

 ただ、このおどおどした態度によって、成功した作品もあって、それが「君に届け」だと思っています。


 とはいえ、「君に届け」の重要性は、2021年から振り返れば、なにを置いても主演が三浦春馬で風早くんという爽やかで、学年で男女問わず人気者を演じている部分だと思います。

 まずは、そこから話をさせてください。


 あえて言及することでもないかも知れませんが、2020年に三浦春馬は亡くなりました。

 三浦春馬はとても優れた俳優であり、「君に届け」でも彼の素晴しい点は存分に味わうことが可能です。

 風早くんは人気者ですが、決して王子様のような完璧性を持った少年ではありません。等身大の少年が人気者であるだけです。その為、彼は少年らしい失敗や後悔をします。


「君に届け」は少女漫画が原作で、女の子向けに作られていることは間違いありませんが、彼女とのデートで男の子が興味はないけど「君に届け」を見た時に、密かに心に刺さるような作りがさりげなくされている作品でもあります。


 そうした男の子の心を動かすキャラクターになっているのは、三浦春馬の情けなさと人気者ゆえの行動力のバランスを絶妙に演じきっているからかと思われます。

 同時に、娘に原作が好きだから行こうと誘われて、しぶしぶ行った父親も刺さるような設定が「君に届け」には施されています。


 というのも、実写版の「君に届け」には原作にはなかった設定として、爽子(ヒロイン)のお父さんが「市民交響楽団のシンバル奏者を務めている」ことになっていて、映画はそのお父さんが演奏会の直前に爽子が生まれたと知らされたところから始まります。


 後半で、爽子がお父さんと風早くんのどちらかを選ばないといけない、という展開になり、そこでお父さんが爽子の背中を押したりもしています。親離れ、と言うよりは、父親の子離れがさりげなく描かれていて、その時の爽子のお父さん役、勝村政信の演技は素晴しいです。


 というような形で、「君に届け」は女の子だけではなく、少女漫画は読まない層にも見て何かを持って帰ってもらえるように工夫された映画でした。

 その結果、弱くなってしまった点もありますが、おどおどした態度を逆手に取ったような部分もあって、個人的に好感が持てます。


『倉木』


 君に届けって、何年の映画?


『郷倉』


 2010年です。


『倉木』


 まぁ、若干みたくはなってきたなぁ。君に届けは。


 そもそも、少女漫画原作って、内容よりも女優に目がいくんよな。

 これは失礼ながらも、当時の漫画原作全般にいえるんやけど、内容を期待していないから、出演者でみるかどうかを判断してしまう。


 僕の場合、桐谷美玲が出てるから見ようってレンタルした漫画原作映画がいくつかある。

 僕が女として育ってたら、ジャニーズが出てるから見ようってなったんかもしれん。


 ふと考えると、漫画原作×美男美女って形の作品も多いんかもね。

 映画の質が下がったとしても、とっかかりやすい形ではあるから。


 そういう入り口からみていって、説明してもらった君に届けのような作品ならば、見る価値が絶対あるもんね。


『郷倉』


「君に届け」にご興味を持ってもらった上で、大変恐縮ですが、ここから悪い面について書き、「大奥〈男女逆転〉」にも触れて行ければと思います。


 倉木さんが自分を女性だった場合の話をしてくださいましたが、もし、僕が女の性で生まれていて「君に届け」が好きで、実写版の映画を見に行ったのなら、酷評していたと思います。


 理由は幾つかあるのですが、大前提として実写映画は「君に届け」の原作を好きな人向けには作られていないんです。

 原作の「君に届け」が多くの女性読者に響き、共感された点は北海道の片田舎の高校の教室で孤立した爽子が友達を作っていき、徐々にクラスメイトの一員としてなって行く過程でした。


 実写映画はそれをまったく描いていない訳ではありませんが、省略された部分があり、とくに爽子と友達になる矢野あやねと吉田千鶴と徐々に交流を深めていく流れや、ライバル役の胡桃沢梅との微妙な関係は、「君に届け」の原作を読んで楽しんでいた十代の女の子から見れば、おざなりに見えたことでしょう。

 そして、それは仕方がなかったように思います。


 というのも、実写映画の「君に届け」が上映された2010年の一年前にアニメ版の「君に届け」がテレビで放送されており、この出来は原作を読んでいる層も大満足なものになっていました。

 音、演出、作画、全てが高水準であり「君に届け」を布教するのなら、実写映画版ではなく、アニメ版を勧める、と思った原作好きは少なからずいたのではないか、と予想します。


 僕は「君に届け」の原作ファンである為に、今回このような評価になるのですが、一歩引いて改めて、実写映画を見ると原作やアニメとの差異を図り、あくまで風早くんと爽子のラブストーリーに徹している、という点で見る価値がある作品なのは間違いありません。

 最後に実写映画版のキャッチコピーを紹介させてください。


「簡単になんて伝えられない。本当に、本当に大切な気持ちだから。」「本当に大切な想いは、ゆっくりと伝えればいい。」


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