ゲーム
さて、進学校の生徒と聞いてどんな人柄を思い浮かべるだろうか?
眼鏡でガリ勉でゲームや漫画なんて嗜まない……そんな人を思い浮かべる人も多いだろう。だが実際はそんな人は進学校の中でも少数で、大体は普通にゲームもするし漫画やアニメも読むし流行りのSNSに(モラルのある範囲で)投稿したりする、普通の高校生となんら変わりはないのだ。
だから、通話機能に秀でたSNSにサーバーと呼ばれるグループ機能を使ってクラスメート間でゲームをする……なんてこともしたりする。
「あー、そっちの敵削ってる」
『オッケー。今……やったわ』
僕はここ最近普通のパソコン以上のスペックを出していなかったゲーミングpcを使って、
今二人がしているのはトリオモードと呼ばれるもので、三人一組のパーティーが30──合計90人がフィールドに降り立ち、落ちている武器を拾って戦うというモードである。
『早く漁ろうぜ』
『漁夫来たら綾人スペシャル吐いて』
「わかってるって」
「何してるの?」
「っ!? び、びっくりした……」
急にヘッドホンを少しずらされて話しかけられ、思わず体を震わせる。
視線をそちらへ向けるとそこには愛しの彼女くるみが椅子に座る僕を見下ろしていた。
「ああ、今小野とかとVoDやってて……くるみは今日家族で買い物じゃなかったの?」
「うん、コムトコ行ってた。綾人用にいくらか買ってきたよ」
「じゃあ後でお金払う……いや、家計用の財布から勝手に持っていって」
「いらないってお母さん言ってた」
『おい、嫁と話してないで早く漁れよ!!』
『そうめんの言う通りだ。通話越しにイチャイチャ聞かせんな』
「ああ、ごめんごめん。イチャイチャはしてないけど……っと、試合終わるまで少し待っててね」
「わたしが急にきただけだから気にしないで。続けてていいよ」
くるみは僕のヘッドホンを直してから、部屋の椅子を動かして僕の隣に置きそこに腰掛けると完全に見学の体制に入る。
本人がいいようなので僕はゲームに集中するため視線を向ける。
そこから集中してゲームを進めること5分と少し。そうめんくんが途中で拾ったレアな長射程武器を使って遠くからダメージを与え、僕と小野がその間に近づいてトドメを刺すという戦法でなんとか1位をもぎ取ると一息つく。
すこし雑談を挟んでから元から抜ける予定のあったそうめんくんが抜け、その流れで僕と小野も解散となった。
「ふぅ、終わったよ」
「……わたしもパソコン買おうかな」
「ゲームしてみたくなった?」
「通話しながらゲームとかしてみたい」
「あー……家にゲーム機あるでしょ? それでやってみる?」
「ほら、なんというか……その……違うじゃん」
「あはは、わかってるよ。このゲームを一緒にしたいんでしょ?」
つまり、嫉妬してくれたのかもしれない。僕が他の人とやることは大抵くるみともやったことで、一緒にしてないことの方が少ないし。
ただ、問題があって……
「ただ……このゲームが動くパソコンって高いよ?」
「な、何万くらい?」
「うーん……最低限動くスペックでも、周辺機器込みで15万はするかな」
ゲーミング本体12万円、モニターとかヘッドセットとかキーボードとかその辺の周辺機器諸々合わせて3万円。僕は父が急に買ってきたから家にあるが、くるみの家には古いデスクトップパソコンしかなかった筈だ。
「えー、ニャイッチより高いじゃん……」
「あれは一応家庭用ゲーム機だからね。あれより使ってる部品高いから仕方ないよ」
「むぅ……仕方ないから諦める」
「だね」
不満そうな顔で座るくるみを引き寄せて抱きしめてあげる。
くるみは「むー」と声を出しながら数回顔を肩に擦り付けると、「ふぅっ」と息を吐く。
「許す」
「あはは、なんか悪いことしたかな?」
「なんとなくゆるすきぶんだからゆるす。光栄に思え」
「ありがたき幸せ」
「よし」
この体勢が気に入ったようで、頬を緩めながら背中に手を回してくる。
僕はくるみの髪にキスをすると、右手で頭を撫でてみた。
すると、もっと撫でてとばかりに押し付けてくるので悪い気はしない。
「ゲーム」
「ん?」
「ゲーム……ネコットモンスターの最新作、今度買うから、綾人も買ってね」
「通話しながら進めてみる?」
「うん。抜け駆け禁止ね」
「いいよ。わかった」
「やった」
くるみは嬉しそうにそう言うと、少し赤くした顔をにへらと笑わせて見せてから、抱きしめる力を強めたのだった。
────あとがき────
タグの枠が2つ空いてるので何か募集します!(何も思いつかなかった)
(……考えるの苦手だから、読者がいじれるようにしてくれないかなぁ)
幼馴染が「据え膳喰わぬは――」とか言ってくる 海ノ10 @umino10
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