これは賞賛の意味で述べるのだが、志賀直哉の『小僧の神様』を少し思い出してしまった。無論、両者は一切無関係である。
本作において、彼女は神を真似たという。古来、真似るというのは特別な行為であった。石器時代、まじない師は獲物の毛皮をかぶって獲物と同じ身動きをすることで豊猟を祈願した。特別な行為とはまた、特別な格好をも意味する。化粧の本来の意味は普段と違う格好をして非日常(つまり神)の力を得ようとする働きであった。
そんな本作において、彼女が崇拝していた神はいかにも人間臭い。多分、彼女の祈りが叶って地上に降りた時、神としての振る舞い方を忘れてしまったのだろう。個人的には、そのまま彼女とずっと一緒にいてほしい。