夏といえば、エネルギーに満ちた印象ですが、この作品はすごく落ち着いた雰囲気のお話です。でも、夏という季節の中だからこそ、このふたりの世界がしっとり描かれているように思いました。
お祭りですくった、金魚が命を終えた。二人はそれを葬る。金魚には名前がない。それぞれが抱える想いにも。じわじわと、溶けるように、口にできない想いが空へと上っていくようで、そして読む者の心にも染みてきます。スピンオフですが、こちらの作品からでも楽しめます。