第4話

 食堂を飛び出して、集落とは反対方向へと向かう。何も考えずにひたすら走っていると、一際大きい楕円形の建物がぽつんと建っている。カイアの家だ。彼女は、人里離れたこの家に、一人で住んでいる。


「何やってんだろ。私」


 自分がひどく惨めに思える。模擬戦で負けて、ザイル教官を怒らせ、友人に迷惑をかけてしまった。挙げ句の果てには、謹慎処分だ。少し前まで異星人に会えると、心躍る気分だったのに、今ではどん底だ。


 入口の前で立ち止まり、大きな溜め息をついた。


「サイアス。私は、本当に間違っているの?」


 岩で出来た白い扉に手をかけると、昔の記憶が蘇ってきた。

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