俺のクラスの学級委員長が天才プラモバトラーでした。からラブコメに発展するってマジで言ってる?

@Iwashi184

第1話 天才は案外近くにいる

俺はスマホを見ていた。友達とチャットをしているからだ。


「あの機体は完成してる?」


「逆に言うとそんなすぐに完成すると思うか?」


「青川君なら余裕かと」


「無茶苦茶いうな」


「残念」


「というか金原は完成してるのか?」


「そりゃ大会まで二か月も無いんだからさすがの俺も完成させてるよ」


それからすぐに写真が送られてくる。送られた画像にあるのは台座に立った人型のロボットだ、機体は全身金色でパーツはカクカクしたものが多い、目は二つあり、巨大なバックパックがついている。


「かっこいいいじゃん」


「アリガットウ、それで明日少し遠くの店まで行かない?この前行った店が結構良かったんだけど」


「それはOK、ごめん、もう寝るわ」


「OK、おやすみ」


時計は十二時を過ぎている。俺は電気を切りさっさと寝ることにした。


スマホから流れる目覚ましの音、せっかくの土曜日だしもうちょっと寝ていたいが、昨日金原と約束したしな。

俺は朝食を食べて、着替えたら、部屋にあるバッグにプラモやその他色々を詰め込んで自転車に乗る。目的地は少し遠いが三十分ぐらいで全然着く距離だ。だが、バッグに少し詰め込み過ぎた、どうせ使わないものもとりあえずで持っていくのが俺の悪い癖かもしれないな。


「よっ!青川早いじゃん」


「お前はいつからいるんだよ」


「早め早めの行動が人生に置いて大事なんだよ」


「そうか」


こいつが、金原なぎさ、数少ない俺の友達で幼馴染の女子だ、そしてこいつを一言で言うと頭がおかしい、ぱっと見、髪はショートで背は女性の中では割と高い方で、顔も整っている、見るからに運動ができそうだが、実際はただのオタクだって言うんだから笑える話だ。


「暑いのに何で入らないの?もしかしてエッチな妄想でもしてた?」


「どうだろうな」


そう言われて、俺たちは建物の中に入る。

中は外よりかは幾分か涼しい、最初に思ったことはそれだが中を見ると結構驚く構造になっている。すべての壁にプラモの箱が所狭しと並んでいる。さらにはバトルスペースもあるようだ。そして中には多くの人が居るようだ、まさに箱詰めだと思わされる。


「俺も初めて見た時は驚いたよ、しかも都市から少し離れたからか中古パーツがめっちゃ安いんだよ」


「へ―、それはすごいな」


「やっぱり地方の人気店が人の入りが多く物が売れるから商品を安くしやすい、だけど都市から離れてるから安い、高校生にとってこれほど嬉しい店もそうそうねえぜーw」


相変わらず何かうざいなこいつ、しかしまあ言っていることは正しい、高校生のお小遣いなんて本気でプラモ組み上げようと思ったらあっという間に無くなってしまう。俺の学校はバイト禁止だし……


「おっおっおっ」


「どうしたんだ急にオットセイのものまねなんて始めて」


「JKが急にオットセイのものまねするわけないじゃん、馬鹿なの?ただ薙野先輩を見つけただけだよ、ほら★Nagi★あんなダサいプレイヤーネーム使ってるのは絶対薙野先輩だって」


「お前のそれ後で先輩に言ってやるからな」


「まあ、そんなどうでも良いことは水に流して試合を見に行こ」


ほんとにこいつは昔から喋れば喋るだけ問題を起こすんだよな。

近くまで行けば段々と試合の様子が見えるようになってくる。モニターには二つのロボットが映し出されそれが戦っているのが分かる。これがプラモバトル、全世界で流行っている対戦ゲームだ、機体の完成度や武装から性能に差が出てくる、俺と金原がはまっているゲームでもある。


「おやおや、薙野先輩負けてるじゃないですか」


本人に聞こえているか結構怪しい大きさで金原はそう言う、ただ薙野先輩がここまで近接機体に押されているのは久しぶりに見た。ローカル対戦のようで、反対側にいる人が操作しているようだ。反対側の人はフードをかぶっていたり、ぶかぶかの服を着たりしていてどんな人間かは分からない。


「対面普通に化け物だね、俺ならあれを相手に近接はしたくないなー」


梛野先輩の機体はガードと緊急離脱に重点を置いており、近接戦を徹底拒否しながら強力な弾を遠距離から撃ってくる、正直いってこの上なく嫌われている戦術を使っている。


薙野先輩の動かす、白い機体は逃げながら銃撃を繰り返すが、対面の緑の機体はそれを最低限の動きで回避しながら近づく。


「うわー、あの動き気持ち悪」


緑色の機体は地面と体を水平に保ちながら、地面を蹴り蛇行して回避する。これ自体なら俺も不可能ではないが、在りえない程姿勢制御が上手く、一切の減速なく進んでいる、これが金原の言う気持ち悪い動きだ。


緑色の機体は、一気に近づき上昇、右手に持っている大型の剣を振り下ろす、それを白い機体は盾で受け止め、盾を使って相手の剣を弾き飛ばす。そこから白い機体は射撃体勢に入るが、緑色の機体は零距離まで近づいている、そこから盾で白色の機体を叩きつけて地面に落とす。緑の機体は一切の躊躇なく落下の勢いを利用して相手を殴りつける。ここで白色の機体が行動不能になり試合が終わる。

対戦していた二人は対戦後に軽く挨拶をして、フードをしている人は店の出口側に向かう。


「あの人面白そうだし、ちょっと行ってくる」


「ちょっ、おま」


そう言った金原は建物から出ようとしている人に声をかけようとしている。俺も一応それを追いかける。


「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」


「えっ!」


声をかけられた人はかなり驚いてこっちの方を見る。その時店の扉のところにある謎の段差に足を引っかけてその人は尻もちをつく。そのせいでフードが外れ顔が見える。


「あの大丈夫で…………ユナ?」


「いや、これは」


「金原、この人だれ?」


「同じクラスにいるじゃん、緑谷委員長」


話した記憶はほとんどないが確かにいたな、印象が違うように見えるのは、普段と違って今は眼鏡をかけているからだろう。


「ユナもプラモバトルしてたんだ、全然知らなかった」


「このことはあんまりほかの人には言わないでほしいんだけど」


「青川このことは……」


「誰にも言わないって、むしろ金原の方が心配なんだが」


「金になりまっせ」


「止めろ!普通にやめて差し上げろ」


「冗談だって、俺がそんな極悪人に見えるか?」


「お前なら見える気がするわ」


「えー。まあいいか、それでユナに聞きたいんだけど」


「何?」


「これから遊んでくれない?さっきの見たけどめっちゃうまかったじゃん」


「そんなことなら大丈夫だけど」


「それじゃあ、決まり。このままいつもの所に行こうか」


「俺は構わないが、緑谷さんは自転車ある?」


「それは大丈夫、家からここまで自転車で来てるから」


「それじゃあ、行くか」


こうして、俺、金原、緑谷さんでいつもの方のショップに向かうことになる。

何故だろう、女子二人が近くに居るのに、今のところあまりうれしく感じないのは……

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