離宮で始めるスローライフなニート生活~お前を愛せないと言われましたが気にしません前世は喪女ですから~

冥狼

第1話その宣言は最高のスローライフ!?ニート生活の始まりでOK?

今日、公爵令嬢であるわたくしルルティア=フィガロはこの国の王太子に嫁いできた。

そして挙式後のお披露目の夜会後に王太子宮ではなくなぜか王太子宮から南に入った場所にある離宮の部屋でに連れてこられた現在、とても不機嫌な顔をしたこの国の王太子で私の夫になったアレクシス=オルティナ殿下がいる。


私には40ちょっと生きた前世の記憶があるのでそんな殿下の様子を見て反抗期かよ?!しょうがないなぁ~と私は何か言いたいのかな?言ってごらんよ?と生温かく見守っている。

本来ならばお風呂に入り侍女に磨きに磨き上げられて夫婦の部屋のベッドで初夜を待つ筈だがどう考えてもここは離宮で夫婦の寝室ではない。

ただ一つ言えることは殿下のお顔をこんな近くで見るのは十年ぶりくらいではないかと言う事だ。


思い起こせば婚約が決まったのは私が8歳の時だったが殆ど交流がなかった。

婚約者としてのエスコートも数えるほどと言うか・・・うん、今日の結婚式が初めてと言える。どんだけ交流がないんだと言いたい。

王宮での交流のためのお茶会だってすっぽかされるし、我が家への訪問もすっぽかされる。誕生日の贈り物も花の一本すら送られてきた事は無いし送ってもお礼の手紙も何もない。夜会にお茶会の場もエスコートされたことがない。

殿下と会った事も話した事も無いって分かるでしょ?今までの状況がこんなだもの交流して愛情や信頼、友愛を育てるなんてできないし何でここまで私が蔑ろにされなきゃならないのかと愚痴の一つも言いたくなるものだろうけれど私は別に気にしなかった。聞くところによれば殿下には好きな子がいる。しかし彼女は殿下の乳母の娘で子爵令嬢。子爵家では王家に嫁ぐには爵位が低すぎた為に婚約は認められなかった。乳母である子爵夫人は娘に苦言を呈しても効かず頑なになった殿下も取り合わなかった。

良くある話で周りが止めれば止めるほど苦言を呈すれば呈するほど燃えがるっていうやつですね。前世の創作物にもよくあったわ。


殿下と子爵令嬢の話を知っているうちの両親と兄達も両陛下に願い出たわよ、婚約の白紙撤回、または婚約破棄を願い出たが拒否された。その為泣く泣く今日を迎えた。

殿下の顔を見てうちの家族の気配も顔も怖かった。今も呪い殺しそうな眼をしているわよ兄たちが・・・シスコン拗らせちゃったのよね。殿下に存在無視されてる私をずっと見守ってくれたけれど段々とシスコンになっていったのよね。だから式の後のお披露目と言うおめでたい席でも殿下を見る目が物凄い冷たいのはしょうがない。

殿下の態度は愛する子爵令嬢と結婚できず私と結婚しなければならないのがとても不本意なのだろう。だが言おう私だって超不本意だ!!と。貴族令嬢、王妃教育の賜物で顔には出さないが雰囲気は隠せないくらい出てると言うのは自分でも分かる。


と今日までの事を思い出している間も殿下は黙って私を見ているが何がしたいのかしらね?


「一つ言っておく。私はこの先もお前を愛する事は無い。この離宮は好きにしてもかまわないから王太子宮には近づかないでくれ。それだけだ」


それだけ言うとそそくさと部屋を出て行った。

一つ?二つくらい言ってなかったかしら?愛する気はないっていうのと王太子宮には近づくなって・・・まぁあいいけれども。

別に愛する事は無いって言われてもどーぞどーぞって感じだし。って言うか返事も聞かずに去ってくし。どんだけ自分本位なのかしら?いいけど。


あれ?私この離宮でお一人様で生活できるの?うん?侍女とか料理人とか入るだろうけどこの離宮内で好きにしていいって・・・あれ?コレってもしかしてもしかしなくても・・・


「最高のスローライフじゃないかしら?スローライフっていうよりニート?あれ?最強のニート生活になるんじゃないかしら?」


あれ?殿下のご機嫌取りもせずに好きにこの離宮で生活していいって事はそういう事よね?


「それって最高じゃない?」


そう、今まで超忙しかったじゃない?令嬢教育に王太子妃教育を血反吐吐く思いでやってきたじゃない。これってこれまでのご褒美?!

今までできなかった腐った趣味の同人誌執筆アレとか実も出来ちゃうガーデニングコレとかお忍び街歩きソレをやっても誰にも文句言われないって事よね?!


「スローライフ万歳!!最強ニート生活万歳!!」


そんな私の驚喜の叫び声が静かな夜空に響き渡った結婚初日。


あまりに興奮してなかなか寝付けなくて翌日寝不足になっていたのは仕方ないと思いたい。

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