ーゼロから始める下界改革


「さてと、そうと決まればやることは山積みだな。まず第一にやることは食い物の確保からだな」



「待て待て、お前ホントにこの街をどうにかしようと思ってんのか?」


立ち上がりそう口にした龍神を見てクロスは慌てた様子で口を開く。

そんなクロスを見て龍信はニヤリと笑い首を縦に振る。



「当たり前だ、この見捨てられた街を誰もが住みたいって街に生まれ変える。考えただけでわくわくしねえ?お前も手伝えクロス」



「……それはお前がギルドを創って頭になってこの街を統治しようって事だよな?」


クロスが真顔で聞いてきたので龍信は考えるように顎を触った。


ギルド、ギルドかぁ……何かマジに異世界っぽくなってきた。それは楽しそうだ。



「ギルド、いいねぇ。俺が頭ならお前副頭な」


龍信がそう言うと、クロスは少し表情を暗くさせて頭を下げた。



「…………すまない、返事は少し待って貰えないか?俺にも……色々事情があってな」



「いいよ別に、ゆっくり考えな。それより今は食料の確保からだ。街の外ってやっぱり魔物とかいんの?そいつら食える?」



「勿論いる、魔物を狩って生計を立ててるのが俺達や冒険者達だ。この街から出て西にある森には多くの魔物がいるが狂暴でな、食えるが危険がかなり伴って迂闊に手を出せない」



クロスの言葉を聞くと龍神は笑みを浮かべて街の外に向かって歩き始める。



「よっしゃ、クロス。倒した魔物街まで運ぶの手伝ってくれるメンバー集めてくれよ、今から資金源作りと食料調達に行くぞ」



「おいおい、聞いてたのか?魔物は危険だから俺達じゃ簡単に手は」



「おいおい、お前こそ分かってんのか?その為に俺がいんだろうが?」



龍信が振り返りニヤリと笑ってクロスの言葉を切ると、クロスはキョトンとした表情の後笑みを浮かべ頷いた。



「了解、直ぐに人数集めるよ」


クロスはそれだけ言うと走り去り、街の外に続く門の前に到着した時にはチュードルとヨハンを連れたクロスの姿があった。

 

門の前で待つチュードルとヨハンの二人を見て笑みを浮かべると煙草に火をつけ口を開く。

 

 

「何だ、二人だけか?この街仕切ってるって聞いたからもっと人数いるんだと思ったぞ」

 

 

「俺達は『他の区画』と違ってギルドがない、主に戦えるのは俺達三人だけだ」

 

「へえ、また気になる単語が出てきたがこの街立て直すのに必要な事を今からやりに行くぞ」

 

 

 龍信の言葉に無表情で応えたヨハンに笑いかけると龍信は煙草の煙を吐き出した。

 

 

「必要な事?」

 

 

「おう、まずは大量の食料と金を稼ぐ」

 

 チュードルの質問に龍信はニヤリと笑うと開いた門をくぐり外に向かって歩きだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る