ー 確かめたい事
「おい平民、貴様の無礼な行い。それはこの下界の者共の総意ということで良いのか?」
先程ベルモンドと名乗った男は剣の切っ先を見つめながら口を開くと、チラリと周りの市民達を見た。
ベルモンドから視線を向けられた市民達はビクリと肩を震わせる。
そんな光景を見た龍信は何かを察してため息をついた。
「ああ……なるほどね、見れば見るほど三下だわ」
「口を慎めガキ、 貴様の味方などここには誰もいない。不意討ちで瓦礫を投げてきただけの下民がいつまでも調子にのるな!」
「っ?!」
「ユリ!!!!」
ベルモンドは少女に向けて突如剣を振り下ろし、チュードルが叫び周りの市民達は目を背けたが鈍い金属音が響いただけであった。
少女に向かって振り下ろされた剣、しかしそこには少女の姿はなく先程切られて倒れていた二人の男女の姿も消えていた。
「おいチュン太、親父さんとお袋さんと妹、さっさと病院連れていけ。まだ息はある」
「…………お前、今何やりやがったんだ?」
「んなくだらねえ質問より優先する事があんだろうが、さっさと病院連れてけ」
今の一瞬で何が起きたのか理解出来ず呆然とするチュン太に鋭い瞳を向ける龍信。
チュン太は龍信の瞳を見つめると立ち上がり、周りの人に話しかける。
「誰か手を貸してくれ!親父とお袋を病院に運ぶ!」
その言葉を聞いて我に返った周りの住民は重症であろう男女を病院へと運ぶ手伝いに動き出す。
チュン太は妹を抱き抱え走り出そうとするが、一度止まり振り返り龍信を見た。
「さっきはすまなかった……恩にきる。礼がしたいから絶対死ぬんじゃねえぞ?」
「てめえもかなりの重症だろうが、礼なんざいいから家族と自分の心配してろ。俺が代わりにこいつらシメとくからよ」
龍信が笑みを浮かべて応えたのを聞いて、チュン太も笑みを浮かべ病院へと走り出した。
「…………龍信、手を貸そうか?」
チュン太達を見送り騎士達と向かいあった龍信に歩み寄ってきたのはクロスだった。
周りの市民達は余程この屑共が恐ろしいのか遠巻きに見つめてくるだけであるのに……。
「お前……いい奴だな、まあちょっと確かめたい事もあるしそこで見てろよ」
「お前には負けるよ……ありがとな、ここの人達助けてくれて」
言い合うと笑みを浮かべる龍信とクロス、するとベルモンドが馬から降りて怒りの形相で近付いてくる。
「どんな手品を使ってあの小娘を助けたかは分からんが貴様は二度も私の顔に泥を塗ったのは確かだ、只では殺さん」
「無抵抗の女の子を殴る蹴るして殺そうとした屑の三下が泥を塗られたも糞もねえだろうが、お前魔法撃てんだろ?早く見せてくれよ」
煙草に火をつけ龍信は挑発的に手を前に出した。
それを確かめてみたかった。ステータスの振り分け画面を見ていなかった俺は一番上のステータスに極振りした。
あれは身体能力的な奴だと考えているが他にもステータスが存在していた。
その中に例えば『魔法耐性』なんていうものがあったならばかなりヤバイ。
魔法を喰らったら一瞬であの世逝き、その可能性は多いにある、でないとあの糞神と機械の声が本当によろしいですか?と何億回も聞いてくる理由が見当たらないからだ。
「蹂躙せよ!太古より続く灼熱の光よ!灰に還せ!天罰の光よ!第四界位バーストフレイム!!」
何やら詠唱を始めたベルモンドの手に光が集まっていくと次の瞬間巨大な炎の塊が龍信目掛けて発射される。
「第四界位?!避けろ龍信!!」
クロスの怒鳴り声が聞こえてきたが、龍信炎の塊を見つめたまま動かない。
煙草の煙を吐き出すと炎の塊は龍信にぶつかり大爆発を起こした。
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