祈り

とあるカフェ店員

祈り

死して尚輝く者達へ。

僕はあなた達への憧れがずっと消えずに生きている。

愛を知り、愛して愛されたあなた達は美しい。

僕はまだそれを理解できないから、となりの芝が青い様にあなたの事が羨ましい。


いっそ早く死んでしまえたならなんて物騒な事を考える夜には、美しく輝いている夜空の星々を見上げるに限る。

あなたたちもそこに居るのだろうか。


美しく生きよう、生きようとすればする程自らの首が絞まるような感覚が止まらない。

こんなことを考えている内はそんな綺麗な一等星にはなれないのだろうけれど。


僕は何処に向かっているのだろうか。

希死念慮と呼べる程の物ですらないこの感情を抱いて生きるにはこの世界は、少し、僕には冷たく感じてしまう。


どこか遠くへ、行きたいだけなのだろう。

今抱えている物を全て投げ出してただただ星になりたいだけなのだろう。

本当は星になんてなりたくもないのかも知れない。

ただ、自らに様々な物が欠けていることだけは自覚している。


ずっと、夜が来る度にそんなことを考えていた。


「どこか遠くへ、もう来てるんじゃないか」

なんて救いの声が聞こえた気がした。

思えば、様々な苦労や困難を越えてきたことを忘れていただけなのかも。


なにも苦労せずに、なにも困らずに、なにも苦しまずに今を生きているなんて事は無いのかもしれない。

生きているだけで、呼吸しているだけで最低限の努力は出来ているのかもしれない。前を向けているのかもしれない。


ぼうと、星を見上げながら紫煙を吐き出していると星達はそんなことを教えてくれる。

星は、死して尚輝く者達は輝きでそんな事を教えてくれる。

やはりあなた達は偉大だ。


僕があなた達への憧れがあるように、恐らくあなた達も私達への憧れがあるのだろう。

ならば、あなた達への最大の敬意を表してもう少し歩いてみようと思う。

この先が何処に向かっていて、どこが終着点なのかもわからない。

先の見えない旅だけれど、だけど、歩いてみようと思う。周りの人達を沢山巻き込んで笑わせて喜ばせて愛して、星に負けないくらいこの世で輝いても良いのだと教えてくれたのは輝く星であるあなた達だ。


この先に苦労も困難も苦しみも沢山あるだろう。その度に僕は星を眺めることにするよ。

人を沢山幸せに出来れば、ぼやけた六等星位にはなれるだろう。

そう信じて僕は前に少しずつ進むことにしよう。


疲れたら星を眺めて、泣いて喚いて泥臭く生きようじゃないか。あんた達もそうしてきたんだろう?


生きて、前に少しずつ進んで、いつかこの旅が終わったらその時は笑いながら出迎えてくれ。

まだこんな所で終わるつもりは無いから覚悟しておいてくれ。

また辛くなったらあなた達に祈りを捧げることにするよ。ありがとうな。


おやすみ。死して尚輝く者達よ。

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