能力の暴走を測った時のケース1

鮭川のフレーク

いつか夢を見てた時のように

僕の能力は、ドラゴンみたいな目をしたまま能力を発動していれば何もかもが無効化させるかとができたり黒い霧さえ出していれば武器をお追い込ませて、強化することもできるし、それを使って壁を作ることだってできる。


でもそのせいで、過去にたくさんの傷をおった。


今までは、笑って誤魔化してきたけどその笑顔の仮面もついにヒビが入って演じられなくなった。


「紅月。ここ全然違うぞ!?」


「あ、、、ご、ごめんなさいーーー!!」


「たく。

何回目だ、次ミスしたら許さないからな!!」


僕の心の痛みを知らないくせに。


「紅月、お前…あの時にもし春汰が庇ってなかったら死んでたぞ、何やってんだ。」


「ごめんなさい〜、、、次は…気をつけます!!」


「何ヘラヘラしてんだよ。」


思いっきりぶたれたこと、睨み返してやりたかったけど、僕がキレていい時じゃない。


頑張ったって、誰も褒めてくれない。

当たり前のように、「次これやれ。」だの「ふざけるのも大概にしろ。」に耐えられなくなった。


ただ、異型化なんてしたら迷惑でしかないはずだ。

その時に聞こえた、仲間の言葉。


「もし次に桜ちんが暴走したらどうすんのさー。」


「ほんとに迷惑だな。

私達も仕事で忙しいのに。」


「ちょ、、アラミス。

それ言い過ぎじゃんか!!天使ちゃんだって頑張ってるんだよ?!」


「ただでさえ、仕事もできない異型化の確保の時も足を引っ張るだけ。」


「まー、それもそーだけどさ。

アラミスもちょっとは、考えてみたら〜?彼まだ学生だよ?」


「学生でも、あいつ以上に強いやつはいるだろ。」


「…?」


「どうした、春汰。」


「べーつにー?」


そうか。

僕の必要性なんてここではない。

お荷物でしかない存在なんだ。


涙が溢れてきたが、ここで能力の暴走なんてまた邪魔させてしまうだけ。


物音を立てず、足早にみんなのいる休憩室から逃げて自部屋に戻った。


叫びたくなったけど、それも押えて床を見つめた。


僕がみんなの足を引っ張ってるのはわかってる。

何もかもが、自分は周りより低いのも。


だから、その分頑張って着いてきてる。

泣いても仕方ないのに泣いて、まるでこれじゃあの地獄《学校》で1人で周りからいじめられてる僕みたい。


苦しくてたまらない。

この溜まりに溜まったものはどこに吐き出せばいいんだろうか。

吐き出すにも、この苦しみを聞いてくれる人は近くにいない。


仲間に話そうなもどうせ、この僕のどす黒い感情を聞いてくれる時間を使いたくないだろう。


こんな感情に耐えられなくなった僕は、手前にあった机にふつふつと湧き上がる怒りをぶつけた。

ガンッと痛々しい音が響いたけど、その次に何か鋭い何かに手を切った感覚が来る。


「いたっ、、、、」


手にゆっくりと視線をやる。

するとそこには、刃が出っぱなしのカッターナイフ。


カッターナイフ出切った先の傷口からはじわりと血が滲む。

その血を見るとお腹のそこにいたどす黒い感情が浄化されたみたいにスカッとした。


こんな今までの感情をカッターナイフで手首にたくさん切りつけて、ストレスやぐちゃぐちゃな感情を浄化させていった。


これが、おかしいのは知ってる。

でも、唯一の心の傷を軽くさせるためなんだ。


それからは、色んなことが上手くいくようになった。


何かあれば全部手首から流れる赤い液体を見つめて、なかったことにする。



それから、数週間がたった頃アラミスさんとフラレルさんに呼び出しをくらった。


また僕が仕事のミスをしたのか。

それとも、あの時にまた変なことをしたのか。


不安が、また無意識に真っ赤に染ったカッターナイフに手を伸ばして、傷だらけの手首をわ切りつけようとした直後だった。


「そーゆことねー?」


春汰さんが、ドアを開けて立っていた。


「最近どーりで、血なまぐさいと思ったら桜ちん後の匂いか。」


僕の手から、カッターナイフを手に取ると、机に置いて傷だらけの手首を見つめた。


また人の足を引っ張った。

泣きたくなった。言われるのか。


今度は、自分の体を傷つけて馬鹿みたいな理由でこんなことしてたって。

誰にも話せないから、ここまでのことしてるのに。


それから、静かに言った。


「こんなことして、痛かったんじゃないの?」


痛い…ただ、それだけで片付けられた。

このキズの痛みなんてやってる間全然痛くない。


むしろ、心の方が痛い。


「こんなの痛くないですよ。」


「んなわけないじゃん。

見てる限り痛そ。」


ウザイの一言いえばいいのに僕は、いきなり入ってきたのがびっくりして「勝手に入ってくるのやめてよ。」とだけ。


「あっそ、てかそれより医療室行くよ。

その後にアラミスとフラレルちんのとこ連れてってあげる。」


傷だらけの手首を心配してきたのが、ため息と共に自室から連れ出された。


握るその手は、離さんばかりにぎゅっと握ってて痛かった。

医療室に着くまでの間一切話もせずに、着いた途端。


いきなり、そこにいたアラミスさんに平手打ちを食らう始末。


急な平手打ちに驚く僕。

それを何も無かったかのように見つめる春汰さん。

さらに迷惑そうなため息をつくフラレルさん。


なんで、僕がこんなことをしたらこんな目にあうんだろ。

ここにいても、僕の苦しみを分かろうともしてくれないんだ。


その悔しさのあまりに泣いた。

泣いてどうにかなるわけじゃないのに、誰も僕に手を差し出してくれない。


そしたら、また昨日のことを思い出した。

学校での死にたくなるくらい辛いこと。


上手くいったと思ってたのは、ここだけのこと。

学校じゃ、殴られ蹴られレイプされての地獄。


なんで誰も声すらかけてくれないの。


「自分で何してるのかわかってるのか。


「何してるって。

アラミスさんには、関係ないことですよね。

なんでここまでされないといけないんですか。」


「なるほど。

貴様の言い分はそれか。」


大きく手を振り下ろされた。

また殴られる。


殴られて、壁に倒れて立ち上がる気力も失った。


だって、僕を見る目が全員冷たかった。

____________

殴られて、言葉すらかけられないまま医療室に取り残された。


そうか。

僕は、もう必要ないのか。


その場にうずくまって、泣いた。

男が1人泣いてるとか情けないとかあった。

なのに、我慢してた感情が爆発した。


"僕は最初から必要ない存在なんだ"と。


目をつぶって、「死にたいなぁ。」と呟いた。


誰でもいいから死んじゃダメって言ってくれないかな。

ようやく、動けたのは次に目を開けられた時。


僕がもし、この世界からいなくなったらこの人たちはどう思うんだろ。

必要性もないゴミが自分で後片付けをしたって思う?

それとも必要性のないゴミが自らゴミを作った。と言うのかな。


ますます1人心が離れていく。

すると今度は、僕の感情が押しつぶされる。

部屋で"自殺 苦しまない方法"と調べて、楽に死ねるようなものを調べてみた。


そしたら、薬の飲みすぎとか海に身を投げて死ぬとか出てきた。


調べたその日、いじめっ子達からの呼び出しがあった。


今度は、なんなんだと思えば単に鬱憤ばらしのためのサンドバック。

まだ飽きないのか、ずっと殴られてばっか。


1人の男の蹴りが、変な場所に入って体制が崩れる。

それから、あちこちからの暴力にガタガタと怯えて泣き叫んで、逃げようともした。

なのに、力が強くて逃げられなかった。


今度は、バットで殴る。

すると体全身がバキバキとか変な音が鳴る。


あ、これ死んだなって思った。

今までにないくらい痛いのが走る。


口から血が吹き出る。


それにびびった男3人。


「やばくね?」「え、、どうすんのこれ。」「こいつが悪いってことにして、逃げようぜ。」


僕が全部悪いのか。

逃げていった足音に目から血の涙がホロホロと落ちる。

「なんで、、、ぼく、ばっかり……なの?」

か細い声が浜辺で聞こえた。


するとどんどん体が寒くなってきて、声が出ないくらいになって言って、「たすけて」「いきたい」って口にするようになって、目の前も朦朧とし始めた。


死ぬ前に可愛い服着たかった。


死ぬ前にオシャレなスイーツ店に行きたかった。


死ぬ前に誰かのことを好きになってみたかった。


そんな言葉が浮かんだり、悪い記憶ばっかりなのに小さい頃のトラウマだった虐待や悲しいことがすぐに浮かんだ。


もう何もかもが分からなくなって、ゆっくりと目を閉じた。


一瞬数人の声が聞こえたけど、もう何もかもに疲れたからいっそ永遠に寝てしまおう。



すると、何か叫ぶような名前を呼んでるみたいに聞こえて、視界が明るくなる。


それが意味すること。


死ぬ事ができなかったということ。


「このまま、紅月が意識を戻さなかったらどうなるんだ?!」


「リーダー。

落ち着いて。桜くん起きた。」


「桜ちんおっは〜♪」


「起きてからすぐに何があったか聞かないとな。」


「起きてるって。」


「第1発見者のリーダーは何か知らないの?」


「私にもさっぱりだ…。

紅月が血まみれで倒れてた所を発見しただけで…な。」


その途端に一気に体の痛みが襲いかかる。

「い…………た、、い」


あまりの痛さにボソリと呟いた。


アラミスさんがびっくりしてこっちを覗き込む。

遠い目の僕には、何があったのかさえ分からない。


というよりあの時に死んでる可能性あったのにどうやって生きられたのかが驚く。


「紅月!!

一体何があったんだ!?異型化したやつに襲われたのか!?」


目覚めの質問だから、頭も回らず何があったのかボソボソと話し出した。

アラミスさんの悲鳴に近い声が頭にヒピいて、頭中ズキズキして「ゔゔ……」なんてうなりながら言った。


「たしか……大賀先輩たちに、よびだされてよびだされたばしょに行ったら…ころされかけて」


言ってる事曖昧だったけど、今のこの温かさがさっきまでの恐怖を溶かして、「こわかった……」と泣きだしていた。


「いたかった……、、、、こわかった、、、だれにも、いえないから、くるしくて、、、、……つらかった」


まるで子供みたいに、全部泣きながら言った。


助けて欲しくて言ったのかとしれないけど、最後の最後に頼れるのはこの人達だけだと助けを求めた。


全部言い終えたところで、何も、言わず見つめるアラミスさん達を見つめながら気分が落ち着いてきてゆっくりと目を閉じた。


「紅月、そんな中でよく頑張ったな。」


微かに褒めた声が聞こえて、寝ているのにまた泣いてた。

_____________

あれから僕は、アラミスさんと仲直りをした。

アラミスさんも殴ったことに関してまだ心配していた。


あれからアラミスさんのお金という名の権力?というもので、あの3人を呼び出し帰らぬもの?になったらしい。


僕はまだ何も知らないから裏で、春汰さんに聞いてしまったのだが、彼らはアラミスさんに消された……ととんでもないことを言った。

手には一生消えない傷痕を抱えて生きていくのを決意したのは、ちょうど雲ひとつがない晴れ渡った空にまだ温かさが残った頃だった。

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