本当に知りたいことは何ですか

学校の図書館に到着する。

そして、深呼吸をして知りたいことを整理して図書館の中を歩く。


「怜佳はどうして消えてしまったのか」


焦る気持ちと、本当にあの図書館につながるのかという不安が入り混じる。


カウンターの横を通り、新刊コーナーを通り過ぎる。

背の高い大きな本棚に書かれたジャンルを見ながら次々に通り過ぎていく。


怜佳が消えたのは自然現象ではないよな?

何かの技術で人為的に引き起こされたものなのか?

歴史的に見て過去にもあったのか?


今までそんな疑問は出てこなかったのに、突然頭に浮かんできた。


そうして図書館の最奥まで歩いたところで、謎の図書館にはいけないのかと落ち込む。

引き返そうと振り返ると、あの図書館にかわっていた。

相変わらず差し込む光に少し安心する。


ここにこれたのはいいが、この後そうすればいいのかわからない。

前回はカウンターに「席を外しています」というプレートがあったのを思い出した。


カウンターに向かってみる。

すると、目鼻立ちのはっきりした、きれいな長い髪の女性が座っていた。


「あの・・・」

とりあえず声をかけてみる。読んでいた本から顔を上げ、女は言う。


「ようこそ。何を求めて?」

夢で聞いた声だ。深呼吸して、ここは何なのか聞いてみる。


「聞きたいことはそれですか?ここは、全宇宙のことが記録されている場所です。地球上ではアカシックレコードとよばれていますかね。」

受付の女性は答える。続けて、申し遅れましたがと前置きし、私の名前はアストレアと申しますと名乗った。


ほかにも聞きたいことがあるんですけどというと、アストレアさんは少し微笑み、うなずいた。


アカシックレコードについても聞きたかったが、まずは怜佳のことだ。

少しでも早く解決するに越したことはないだろうし、何より状況を知って安心したい。


「間宮怜佳はなぜ消えてしまったのでしょうか」


「そうね。間宮怜佳さんは何者かによって情報を消去されてしまった、と説明するのが適切でしょうか。」


やはり人為的に消されてしまったのか。

消去されてしまったというのはどういう状況何だろう。

もう戻ることはないってことなのだろうか。

人為的に消すといっても、どうやって消したのだろうか。


わからないことが噴出し、何から聞こうか整理する。


「消去されてしまったというのはどういうことですか。元には戻らないってことですか。」


できるだけ落ち着いた声で話すように心がけたが、アストレアさんは少し間をおいて話してくれた。


「地球でいうところの、ゲーム世界のようなものなんです。この世界には創造主がいて、無機物も有機物も作りました。


生き物も生きてないものも。


作るだけでなく、どこの配置するのか、どういった動きをするのかなど、細かく条件付けしているのです。


ですので、怜佳さんが消去されたというのは、ゲームに登場する人物に関するデータをまるまる削除した、というようなイメージです。


元に戻らないかという問いについては、今のところバックアップがあるようなのでまだ元に戻せます。


ただし、バックアップは期限が来ると完全に消去されてしまいます。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ワールドブルー なまけ猫 @ASUKA-MOFU2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ