最終話 子が親を想う心

「……お母さん?」

「こんな時間にどうしたのリュウセイ。寒いから早くこっちに来なさい」

「うん」


「暖かい?」

「うん」

「……」


「……あのね、お母さんは、お母さんのお父さんに会いたいんでしょ?」

「……誰から聞いたの?」

「えっとね、お母さんがいつも痛そうにしてるから、お父さんに聞いたら、タコやきのお姉さんのところに一緒に聞きに行こうかって」


「それでね、ぼくもお母さんと同じだから。ぼくのからだを、お母さんのお父さんにあげてもいいよ?」

「そ、そんなこと言うんじゃありません」


「ぼくもお母さんのことが大好きだから」


「ぼくがお母さんのお父さんといっしょになっても、お母さんのことを大好きな気持ちは消えないって、タコやきのお姉さんが言ってたから」

「ぼくはお母さんのことを、ずっとずっと大好きだから」

「だからお母さん、もう痛くならないで」


「……」

「お母さんだいじょうぶ? 痛いの?」

「ううん。痛くないの。痛くないの……」

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アル中転生 ~アルコール中心の異世界攻略 ヤグチマサノブ @yaguchi-masanobu

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