第7話

「ルーファス。ルーファスは居るか。」

王の呼び声に応え王室の隅から男が現れた。

「ここに…。」

「わかっているな?目を離すな。」

「承知。」

男はそのまま影に沈んで消えた。

「フッ…面白いのが現れたな。フレヤよ、あれをどうするつもりか見ものだな。」



「フ、フレヤ…様?なにを!?」

「あーそういえば、そこに居たのね。」

フレヤはおもむろに服を脱ぎ出した、王室育ちだからか肌は透き通るように白く、目が釘付けになってしまった。

「ちょっと!何見てるのよ!着替えるんだから、あっち向いて!」

「ごごごめんなさい!」

「いつも独りだったから…慣れって怖いわね。あなた、様をつける必要はないわ。フレヤでいいわよ。」

背後に女の子が着替えをしているのを感じながら、見てはいけないと考えつつも、見たいという衝動と戦っていた。

「そ、そういえばフレヤ…君は姫様なの?」

「見てわかるでしょ?」

「そそそうだよね!いやーなんかすごいなーって…」

「私はこの生活が好きではないの。これで…よし。」

「着替え終わった?あと聞きたい事がもうひとつ…」

《話すのをやめて。扉の向こうに誰かいる。》

「!?」

(まったく感じなかった。敵?城の中なのに?)

《それはない。これは…》

扉がそろりと開いた。

「お久しぶりです。お嬢様。」

そこには、いかにも執事な格好をした白髪の紳士がいた。

「ルーファス!!」

フレヤは紳士に抱きついた。

「お嬢様。こんなにも大きくなられて、嬉しい限りでございます。」

紳士の目になにか光るようなものが見えたが、気のせいか。

とても優しい笑顔が特徴的で、見た目の割に歳を感じさせない立ち振る舞いは完璧な男性と言って良いほどだ。

(か、かっこいい…。)

「いつ戻ったの?遠征隊に同行すると聞いて中々帰ってこないから、話し相手がいなくて退屈だったんだよ?」

「申し訳ありません。私事ではございますが、やり残したことがあったもので…。それより、この者はどちら様で?」

先程とは打って変わって、突き刺さるような鋭い眼光でこちらを見てきた。

「ぐっ…ぼ、僕はジャック。へ、変な人ではありません!」

「十分変よ!ルーファス、この者は無害よ。私が連れてきたの。」

「そうでございますか。お嬢様のなのですね。」

(う…なんか棘のある言い方だな…。)

「ルーファス!私、すごく強くなったのよ!また昔みたいに模擬戦やりましょうよ!」

「お嬢様。積もる話しもあると思いますが、私めからお嬢様に御献上したいモノがございます。」

「え!なになに!?」

ルーファスが手をかざすと、どこからともなく黒い影から剣のような物が現れた。

「これは、我が古き友人の物で、伝説級アーティファクト、でございます。」

「ティルヴィング…。」

フレヤが金色の柄を握った瞬間、光り輝く蛇の様なモノがフレヤの手に纏わりつく。

「キャッ!」

「お嬢様!落ち着いて、魔力で応えるのです。」

「わ、わかったわ…ハッ!」

瞬間。部屋は光に包まれた。


「あれ、ティルヴィングは?」

フレヤが持っていたはずの剣が跡形もなく消え、手の甲に真新しい刻印が施されていた。

「お嬢様。成功でございます。ティルヴィングはお嬢様専用のアーティファクトとなりました。」

「ルーファス。どういうこと?」

「ティルヴィングは、使い手を選ぶ剣。お嬢様はという事でございます。お嬢様を主人とし、主人が死す時まで永久に離れません。心で呼び出し、出現させるのです。」

フレヤが念じると、その手にティルヴィングが出現した。

「あぁ、ルーファス。なんて素敵な贈り物なの。でも、お父様が黙っていないのではなくて?」

「問題はありません。剣に選ばれてしまえば、どうすることもできませんので。」

「まぁ!ルーファスったら、相変わらずズルいのね。」

「冗談はこのくらいに…。お父様には内緒ですよ?では、失礼致します。」

ルーファスは影の中に消えていった。

「フレヤ…様。あの…。」

「様は付けなくていいわ、あれはうちに代々仕えてる執事。それに師匠なの。あ!あなたの服が無いわね。調達しに行くわよ!着いてきなさい!」



次回は②Wis@mo-rusu

https://kakuyomu.jp/users/mo-rusu

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異世界転生で、剣と魔法のSFファンタジーな恋が始まった件。 ぽん @ponT-how

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