主人公の中年男性は、ある日妻に「たまご焼きくらい、もっと上手く作れないのかよ!」と暴言をはいてしまいます。
そして、妻と娘はあっさり男を残して家を出ていきました。男はつぎの日から毎日不器用にもたまご焼きをやいて、Twitterに投稿。それを一年も続けます。
しかし、娘や妻からの反応はなし……
もう中年男の融通のきかなさ。素直じゃないところ。すべてがこのたまご焼きTwitterに凝縮されています。
若い男なら、奥さんの元に即いって謝り倒して戻ってきてもらうでしょう。それができない中年男だから、毎日たまご焼きやいてTwitterにあげてるんですよ。
スマホでたまご焼きとってる丸まった背中が頭に浮かんで、加齢臭まで漂ってきそうな哀愁が怒涛のように胸にせまってきます。
中年男とはこういうものさ……って作者さんのつぶやきが聞こえてきそうでした。
おどろくことにこの短編、お題「龍馬」「空っぽ」「モノのつぶやき」の三つを入れ込んでつくられています。
てんでバラバラな、お題も見事に消化。
「龍馬」という無茶ぶりなお題を出した私も納得の作品でした。
さあ、男のたまご焼きTwitterは妻と娘に届くのでしょうか?