第24話 伝書猫っていいよね♡

 実は私、幼い頃から嫌なことがあると、家出をする癖があった。


 初めての家出が五歳。理由は全く覚えていないが、父親に何か怒鳴られたと思う。普通は泣くとか謝るとかするのかな。ないない、私は強情ちゃんだ。


───こんな家なんか出てってやる!


 奥歯を噛み締め、拳を握り、靴を引っ掛けて飛び出した。昭和の田舎町。車なんかめったに走っていない。田んぼ道をひたすら小走りする。


 親はいつもの事だろう。お腹が空けば帰ってくるだろうって放っておく時代。


───絶対帰らない。お父さんを困らせてやる! そう思った。


 けれど、やっぱり五歳児。行動範囲は狭くて、近くの公園で時間を潰すのが関の山。日が暮れて、お腹が空いて、怒りが鎮まると心細くなった。


「こんばんは。おじさん、お腹が空いた」

「……なんだ? どうした? まあ上がれ」


 家から五分くらいのおじさんの家に上がり込む。父親の実の兄の家だ。同い年の従兄弟が心配して私の顔を覗き込む。私はお父さんに怒られて家に帰りたくない事を一生懸命に訴えた。


 そのあとはあまり覚えてないのだが、迎えに来た父親におんぶされて家に帰ったような記憶がある。あんな家やってられるかってビールを飲んで寝てしまったらしい。うん、飲む5歳児も怖いけど、飲ませるおじさんもヤバい。犯罪。反省。


 家庭に問題があると、引きこもるか、飛び出すかですね。私は父親と喧嘩するとプチ家出しました。一週間くらい家に帰らないの。成長すると交友関係が広くなるのだよ。友達が泊めてくれるの。


 着替えを取りに家に帰ると、母親が必ず言う言葉があった。


「盗みと売春、薬だけはやらないように!」これだけは守った私。偉いね。



 さて、今回ご紹介するのは和響さん、『伝書猫』です。伝書鳩なら聞いた事がありますね。けれど、こちらの作品は猫ちゃんです。


 その猫ちゃんの飼い主は普通の主婦・幸子さん。


 ある日、飼い猫が、首輪に手紙を挟んで帰ってきました。その中には、『たすけて』の文字が書いてあります。


 『たすけて』です。ヘルプミーです。これは誰かのいたずらでしょうか? 本当に助けを求めるものでしょうか?


 その謎が明かされていきます。ミステリーです。


 キーワードは『家出』『猟奇殺人事件』『ネット社会』


 もっと言いたい。話したい。


 うん、もう少しだけ。


 誰でも嫌な事がありますね。私は田んぼの畦道を走り、助けをおじさんに求めました。ビールを飲ませられる荒治療だったけど、解決しました。


 プチ家出中も命の危険はありませんでした。

 

 しかし、この作品の登場人物は……。


 現代社会の闇、危険は身近にあるのです。この『たすけて』は何だったのか、ぜひご自分の目でお確かめ下さい。


 もちろん、ハラハラドキドキ展開ですが飯テロもあり、色んな意味で楽しめます。


 ぜひご一読ください。


 https://kakuyomu.jp/works/16816927862103937366

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