第8話 フランス文学っていいよね♡

 実は私、柊圭介さん作品が好きである。フランス在住の彼は、パリのこと、フランスの事を素敵なエッセイで教えてくれる♡


 そして、フランス文学の良さを作中を通して、教えてくれる。例えば象徴主義サンボリスムの詩人、ボードレールやヴェルレーヌ、ランボーなどなど。


 もちろん、名前は知ってはいたし、ボードレールの詩集は買ったが、興味がわかなかった。むしろ訳した中原中也の作品の方が肌にあっていた。


 皆さまはこのフランスの詩人たちをご存知だったでしょうか? 私は本を読む時は必ず、作者の生い立ちから死までのプチ情報をインプットする。


 ヴェルレーヌは二十六才で結婚。翌年、十才離れたランボーと出逢う。青春真っ只中のランボーは家出を繰り返す問題児。しかしヴェルレーヌと共に過ごす事で詩の才能を育み、ヴェルレーヌとの愛も育む。愛人関係。同性愛者♡


 ちょっとした喧嘩が口論となり、なんとヴェルレーヌはランボーを銃で撃ち……お別れ。ランボーはその後三十七才の時、骨肉腫で亡くなる。

ランボーの詩作活動は、十五才から二十一才まで。若い感性。ブラボー。


 また柊圭介さんからモーパッサンの魅力もたっぷり教えて頂いた。もしカクヨムで柊さんと出会わなければ、ずっとフランス文学に触れる事はなかった。


 さて、今回ご紹介するのは、『ジュールの森』です。舞台はモーパッサンが自殺未遂を起こした年、1892年のフランス、オルアレン。


 森の中で行き倒れになった山羊飼いのジュール。通りかかったブルジョワの子息ヤンに救われるところから物語が始まります。


 身分の違う二人は、惹かれあい、恋に落ちます。悲しい過去を持つジュールは

ヤンの温かさで癒されていくのですが……。


 数奇な運命に翻弄されるジュールとヤン。皮肉な別れ、過酷な青春を生き抜く二人はどうなるのでしょうか? 言いたい。話したい衝動を抑える紫ハナス。


 サンボリスムです。目には見えない人間の内面や観念などを象徴的に表現したボードレールやヴェルレーヌ、そしてランボーの詩が、ジュールとヤンの気持ちを代弁している気がします。どんな詩なのか、二つだけ教えちゃいます。


『秋の日の

 ヸオロンの 

 ためいきの

 身にしみて 

 ひたぶるに

 うら悲し。

 鐘のおとに

 胸ふたぎ 

 色かへて

 涙ぐむ 

 過ぎし日の

 おもひでや。

 げにわれは

 うらぶれて

 こゝかしこ 

 さだめなく

 とび散らふ  

 落葉かな。』※ポール・ヴェルレーヌ▫︎上田敏訳


『何事にも屈従した 無駄だった青春よ、

 繊細さのために 私は生涯をそこなったのだ』 ランボー ▫︎中原中也訳


 タイトルは作中でぜひ見つけてください。有名です。


 そしてジュールはモーパッサンの作品を読んだあと、モーパッサン作品が好きだと感想を言うシーンがあるのですが、私、思わず泣いてしまいました。


『乾いていて、残酷で、後味が悪いから───あんまり愉快じゃないけど、でも冷たいようでいて情があって、読んでるとね、人間が所詮は滑稽な動物でしかないんだって思えてくるんだ。そういうとこが好きなんだ』退廃への美です。泣


 そしてボードレールの詩が好きだと……。泣。もうジュールを抱きしめたい。


 ☆*:.。. .。.:*☆ おすすめレビューです ☆*:.。. .。.:*☆


⭐️⭐️⭐️遊井そわ香様

パリ市の標語「たゆたえども、沈まず」   

困難や絶望に沈みそうになる。けれどそれでも、苦しみながら人はもがき続ける。死んだほうがマシな状況でも、本能的なものが生き延びようとあがく。

嵐に必死に耐えるジュールから目が離せず、読み始めたら最後まで読みたくなる。ジュールの幸せを願いながら、ページを繰る。

絶望の中にあるひとかけらの希望。影に潜む光。死の隣に寄り添う生。喪失した先にある真実の愛。

カクヨムにも優れた文學作品があるって、素晴らしいですね。


⭐️⭐️⭐️小鷹りく様

人生の辛辣さと揺るがない深い愛が描かれ、何度も涙を誘われました。

更にこの作品が作者の処女作と言うのだから、もう脱帽しかありません。その筆致の美しさにもきっと魅了されるでしょう。

壮絶な人生を生きる美しい少年の物語をあなたに————。

タグで読まずにいる方は損をしますよ。何度でも読みたくなる素晴らしい作品です。            


⭐️⭐️⭐️ 陽澄すずめ様

「BL」と現代風に呼ぶのではなく、敢えて「少年愛」と称したい、繊細に綴られた哀しくも美しい物語です。

過酷な運命を辿った恋でしたが、二人の行き着いた答えには、温かな涙が零れました。

自分を真に幸せにできるのは、突き詰めれば自分自身に他ならないのかもしれません。

これまでの何もかもが、この素晴らしいラストシーンに繋がっていたのだと、胸が熱くなりました。

じっくりと読み込むべき作品です。素敵な物語を、ありがとうございました。


全八十八話です。是非ご一読ください。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054901007907

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