第2話無意味な行為
この辺りでは唯一と言っても過言ではない大草原──キュレメア草原のど真ん中にボコッと空いた穴、湖の縁でうたた寝をしていた俺の耳もとで危険を知らせる鳴き声が聞こえる。
「キューンキッキィキューンッ!」
「敵かっ!......って、卑怯な
上体を起こし、小竜を視界に捉えると10人ほどが群がって、武器を構える姿があった。
身長が2mは越えているだろう筋骨隆々の中年男性を筆頭に170cmくらい身長がある男性プレイヤーで構成されたPK集団のようだ。
「こんなところで昼寝かぁ、お嬢ちゃん?お初だろ、生きる伝説さんよぉ~」
「バカだな、てめぇら......盗れるもんは限られてんのによぉ」
「ハハッ!そんな貧弱なナリであのボスモンスターを倒しただってぇ~笑わせるぜ!誰かにカバーしてもらってだろ、所詮。いい気になってんじゃねぇぜぇっっ、嬢ちゃん!」
「はっ。その口ぶりからして挑戦はしたらしいな、どのくらい殺られたんだ?」
「くっ......三回だッ。知ってどうする......」
唇を噛んでからボソッと答えて、睨み付けてきたボスの男性。
「唯一興味があったから訊いただけさぁ。そうだろうなって感じただけ」
「やれぇーッ!」
彼の号令が響くと同時に連中が剣やダガーといった得物を構え、囲んできた。
肩を竦めて、頭上で浮遊している頭サイズの小竜──ルドミアに念話を送り、【氷蒼の剣】を右足を目一杯後退させるのと同時に刀身を後ろにやり、刀身が緑のエフェクトライトを纏い、剣技を食らわせた。
「『四連・
と、俺の叫び声と共にピキピキィーッと草原一帯と囲んでいた集団が凍った。
冷気が一気に身体を囲んで、ブルブルと震えた俺は、キュレメア草原を立ち去った。
「やりすぎた。
「キュンキューン!」
俺が呟いた一人言に、ルドミアは喜んでいるようで高い鳴き声を発しながら頭の横を飛んでいる。
PKは罰則もなく禁止されていないが、プレイヤーをデスペナルティにおいやっても、経験値は貰えない。
アイテムは、アイテムのレア度と同等の価値に値する何かを差し出さなければデスペナにおいやったプレイヤーのアイテムは奪えない。
PKは無意味な行為だ。
SonicArmament・Online~冷蒼の剣士、現れし伝説 闇野ゆかい @kouyann
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