第14話(最終話)
「やっぱりあなたは気持ちのいい男ね」
これまでにない明るい口調だった。
「ますます気に入ったわ。安心して。会社はなくさない。あれはジョーク」
「ジョークって。たちが悪いですよ」
「その点については謝罪するわ。で、助手の件だけれど、休みの日だとか、仕事のない時だけ、という条件でならどう? 『イエス』か『はい』で答えて」
「『助手にならない』という選択肢はないんですね」
「当然よ。私の報酬がなくなってしまうもの。それで? 返答は?」
答えに詰まってしまった。わかってると思うけど、頭の中ではさっきからずっと「危険」「警報」のアラートが鳴り響いてる。レベルは最悪の「レッド」をぶち超えて紫、「パープル」になってる。いわゆる「特別警報」ってやつだ。
理性は「断るべき」と
だけど悲しいかな、俺には好奇心ってやつがある。そいつがむくむくと頭をもたげてきてやがる。知りたい、この
それは「恋」じゃないかと人は言うかもしれない。でもそれは違う。そんなんじゃない。うまく言えないけど、それとは違う「何か」なんだ。
「休みの日や仕事がない時だけでいいんですね」
「そうよ」
「会社を
「疑い深いわね。でも慎重なのは探偵業には
あの
「わかりました。よろしくお願いします」
俺は頭を下げた。でも屈服させられたという感覚はこれっぽっちもなかった。むしろワクワクするような感情が
「こちらこそよろしくね、
瞳が笑った。
【小編】その女性《ひと》の瞳から逃れたいのに逃れられない 金屋かつひさ @kanaya9th
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