第10話
さて、今一度リビングに戻った俺。
さっき紬に渡されたワイヤレスイヤホンは耳に着けている。
なぜイヤホンを渡されたかは分からないが......。
『ん......聞こえる?』
「うおっ......びっくりした」
イヤホンからは、小さいながらも紬の声が聞こえる。
「で......どうして、イヤホンなんか」
俺は右耳をおさえつつ、小さな声で紬と会話をした。
『べ、別に、理由なんかっ、関係ない。と、とにかく、お兄ちゃんは私がいいって言うまでイヤホン外しちゃダメだからね?』
「お、おう......」
なんだよ、別に理由くらいいいじゃないかと少し思った。
『それじゃあ、その、クラスメートとかいう人と話して』
「はいはい」
言われなくてもやるってのに。
「お待ちど、結局紬は、部屋からは出たくないみたいだ」
いや一応部屋のドアは開けてくれたけど、どのみち一階のリビングには降りてこないだろう。
俺がいる時はだが。
「えー、何でてすか!」
いや、なぜかっていうのは俺も聞きたいよ。
「......ま、まあいいですっ」
ゆりは柔らかそうな頬をぷくぅっと膨らませる。
「それでぇ、そのぉ~、あたし、お兄さんのこともっと知りたいんですよ~」
そういいながら俺にくっついてくるゆり。
「もっと知りたいって言われても......例えばどんなこと?」
俺はゆりとちょっと距離を置くと、ゆりは少し不満そうな顔をしながらも、
「例えば、好きな女子のタイプとか」
『あ、私もそれ、聞きたい、かも......』
なんでお前まで聞きたいんだよ?!
『あ、あー、好きなタイプね......」
紬には色々と言う事があるが、俺はそこを我慢した。
紬と通話しているなんてゆりに知られたらどうなることか......。
「で?好きな女子のタイプとやらは?」
またしても俺にくっついてくる。しかもゆりの胸とかが分かるぐらいの距離まで。
こいつ意外とあるんだな......おっといかんいかん。
「俺の好きなタイプかぁ......うーん」
実の所、好きなタイプについてあんまり考えたことが無かったりする。
だから少しの間考えることにした。
「............『頼りになる人』とか『物分りのいい人』かな」
数分考えて出てきた答えはそれだった。
「......なるほど。分かりました」
俺の答えを聞いたゆりは、俺から少し離れるとしばらく考えるそぶりをしそう言った。
引きこもり兼ツンデレな妹と過ごす俺 らかん @dipper36
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