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2021年12月10日 13:18
烏川様この度は、感想をどうも有り難うございました。衒学趣味についての考察などを含め、楽しく、しかも緊張感を持って読ませていただきました。「紙の本で読みたい」感覚が古い物書きもどきの私にとって、最高の褒め言葉です!人生を通じて、褒め言葉とはほとんど縁がないもので、素直に嬉しいです。この作品は「やっぱ横溝正史だよなー」、「どうせなら、できるだけ史実に基づいた話にしてみるべ!」、「話が勝手に壮大になっていく展開はどうだ」、「生物専攻だったわけだし、生物毒は欠かせないっしょ」といった欲求を満たすべく書いてみた作品です。また、下調べの段階で、最初から使うと決めていたカンタリジンが中世の伝説の毒薬カンタレッラと偶然結びついたり、これまた登場させようと決めていたイエズス会がカンタレッラを生み出したボルジア家と結びついたりと、さまざまな要素が芋蔓のように勝手に繋がっていくという不思議な経験をした作品でもあります。正直言いますと、一次選考落選時とは内容がそこそこ変わってしまっています。機会を見つけて、いつかはどこかに再応募しようと目論んで、落選後も時間を見つけては改稿作業を続けてきたためです。自慢にもなりませんが、諦めの悪さだけは人一倍のようです笑ただ、自ら目指した方向性なので仕方ないことではある(ある意味本望ではある?)のですが、下読みの方を含めて、読み手の方々にはやや古臭い内容に映るようです。私がすでにプロ作家で、数作目の作品として発表するならOKなのでしょうが、新人賞となると目新しさ、新鮮さに欠けるのかもしれません。一般公募の道は険しいです……。冗長、遅筆、寡作と三拍子が見事に揃った私ですが、今後も少しずつ書き進め、作品をアップしていきたいと思っています。今回は本当に有り難うございました。
作者からの返信
児島らせつ様、コメントありがとうございます。「生物専攻だったわけだし」というのは驚きました。作品の印象から、歴史関係を専門に学んでおられたのかな、と想像していました。 考えてみれば、私自身、ミステリ作品に自分の専門分野を組み込んだことはないので、作品内容から専門が推察できるとは限らないわけですが……。ファンタジーやホラーならば私もバンバン専門知識を取り入れて書いているわけですし、ならばミステリ作品でも出来るはず。いつかウイルスネタでミステリを書いてみよう、と良い刺激を受けました。ありがとうございます。「やっぱ横溝正史だよなー」という話。言われてみれば横溝正史っぽい雰囲気もありますが、読んでいる時は、あまりそれは感じていませんでした。第18話の応援コメントで記したように、あの部分は確かに横溝作品や乱歩作品でよく見る王道パターンだと思ったり、他にわざわざ書かなかった点として、探偵役の「数日、ちょっと出かけてくる」というところで『悪魔が来たりて笛を吹く』を(東京が事件の舞台なのに事件の背景を調べに金田一耕助が神戸まで行く展開を)思い出したりした程度でした。 私は好きなミステリ作家として日本人ならば横溝正史、外国人ならばジョン・ディクスン・カーの名前を挙げていますが、どちらも私の思うガチガチの本格ミステリからは少しズレていて、伝奇風味が加味されているからこそ読み物として面白いのだろう、と感じています。その点、児島らせつ様の『毒蟲は土に蠢く』は、その伝奇要素がさらに大きくなった(ただし本格ミステリとしての土台は保ったままで)という印象でした。横溝作品と比べるならば、むしろ横溝作品にプラスアルファのイメージでしょうか。 とはいえ、なるほど、ある程度は横溝作品と似た部分もあり、だからこそ横溝好きの私の嗜好にドンピシャでハマったのかもしれません。>私がすでにプロ作家で、数作目の作品として発表するならOKなのでしょうが、新人賞となると目新しさ、新鮮さに欠けるのかもしれません。 この分析も「なるほど」と納得させられました。確かに、斬新さや奇抜さを楽しむ作品というより、安定した(古来より使われてきた)要素を積み重ねることで出来上がった傑作、という印象です。でも、だからこそ安心感のある作品でした。 一読者としては「安心感」と言えますが、それって、本来ならば作家読みする場合に出てくる感覚なのですよね。「これまでの作品から期待していた通り、今回も同じ作風で面白かった!」みたいな。そうなると、児島らせつ様ご自身が分析しているように、既に作品を発表していることが前提となってしまい、確かに公募やコンテストで評価される項目ではなくなってしまう……。 難しいものですね。 それでも(たとえ斬新さよりも安定感がアピールポイントだとしても)、このようなしっかりした作品が評価されてこそのコンテストです。『いつかはどこかに再応募しよう』というのも、どんどん実行してみてください! 児島らせつ様は「小説家になろう」にも登録して、この作品も置いているようですが、あちらにも文芸系の出版社やレーベルが関わるコンテストはありますからね。そういうコンテストから作家デビューを目指すのも、ひとつの手ではないでしょうか。 本当に、WEBに埋もれさせて、眠らせてしまうのは惜しい作品。そう強く思いました。
烏川様
この度は、感想をどうも有り難うございました。
衒学趣味についての考察などを含め、楽しく、しかも緊張感を持って読ませていただきました。
「紙の本で読みたい」
感覚が古い物書きもどきの私にとって、最高の褒め言葉です!
人生を通じて、褒め言葉とはほとんど縁がないもので、素直に嬉しいです。
この作品は「やっぱ横溝正史だよなー」、「どうせなら、できるだけ史実に基づいた話にしてみるべ!」、「話が勝手に壮大になっていく展開はどうだ」、「生物専攻だったわけだし、生物毒は欠かせないっしょ」といった欲求を満たすべく書いてみた作品です。
また、下調べの段階で、最初から使うと決めていたカンタリジンが中世の伝説の毒薬カンタレッラと偶然結びついたり、これまた登場させようと決めていたイエズス会がカンタレッラを生み出したボルジア家と結びついたりと、さまざまな要素が芋蔓のように勝手に繋がっていくという不思議な経験をした作品でもあります。
正直言いますと、一次選考落選時とは内容がそこそこ変わってしまっています。機会を見つけて、いつかはどこかに再応募しようと目論んで、落選後も時間を見つけては改稿作業を続けてきたためです。
自慢にもなりませんが、諦めの悪さだけは人一倍のようです笑
ただ、自ら目指した方向性なので仕方ないことではある(ある意味本望ではある?)のですが、下読みの方を含めて、読み手の方々にはやや古臭い内容に映るようです。
私がすでにプロ作家で、数作目の作品として発表するならOKなのでしょうが、新人賞となると目新しさ、新鮮さに欠けるのかもしれません。
一般公募の道は険しいです……。
冗長、遅筆、寡作と三拍子が見事に揃った私ですが、今後も少しずつ書き進め、作品をアップしていきたいと思っています。
今回は本当に有り難うございました。
作者からの返信
児島らせつ様、コメントありがとうございます。
「生物専攻だったわけだし」というのは驚きました。作品の印象から、歴史関係を専門に学んでおられたのかな、と想像していました。
考えてみれば、私自身、ミステリ作品に自分の専門分野を組み込んだことはないので、作品内容から専門が推察できるとは限らないわけですが……。ファンタジーやホラーならば私もバンバン専門知識を取り入れて書いているわけですし、ならばミステリ作品でも出来るはず。いつかウイルスネタでミステリを書いてみよう、と良い刺激を受けました。ありがとうございます。
「やっぱ横溝正史だよなー」という話。言われてみれば横溝正史っぽい雰囲気もありますが、読んでいる時は、あまりそれは感じていませんでした。第18話の応援コメントで記したように、あの部分は確かに横溝作品や乱歩作品でよく見る王道パターンだと思ったり、他にわざわざ書かなかった点として、探偵役の「数日、ちょっと出かけてくる」というところで『悪魔が来たりて笛を吹く』を(東京が事件の舞台なのに事件の背景を調べに金田一耕助が神戸まで行く展開を)思い出したりした程度でした。
私は好きなミステリ作家として日本人ならば横溝正史、外国人ならばジョン・ディクスン・カーの名前を挙げていますが、どちらも私の思うガチガチの本格ミステリからは少しズレていて、伝奇風味が加味されているからこそ読み物として面白いのだろう、と感じています。その点、児島らせつ様の『毒蟲は土に蠢く』は、その伝奇要素がさらに大きくなった(ただし本格ミステリとしての土台は保ったままで)という印象でした。横溝作品と比べるならば、むしろ横溝作品にプラスアルファのイメージでしょうか。
とはいえ、なるほど、ある程度は横溝作品と似た部分もあり、だからこそ横溝好きの私の嗜好にドンピシャでハマったのかもしれません。
>私がすでにプロ作家で、数作目の作品として発表するならOKなのでしょうが、新人賞となると目新しさ、新鮮さに欠けるのかもしれません。
この分析も「なるほど」と納得させられました。確かに、斬新さや奇抜さを楽しむ作品というより、安定した(古来より使われてきた)要素を積み重ねることで出来上がった傑作、という印象です。でも、だからこそ安心感のある作品でした。
一読者としては「安心感」と言えますが、それって、本来ならば作家読みする場合に出てくる感覚なのですよね。「これまでの作品から期待していた通り、今回も同じ作風で面白かった!」みたいな。そうなると、児島らせつ様ご自身が分析しているように、既に作品を発表していることが前提となってしまい、確かに公募やコンテストで評価される項目ではなくなってしまう……。
難しいものですね。
それでも(たとえ斬新さよりも安定感がアピールポイントだとしても)、このようなしっかりした作品が評価されてこそのコンテストです。『いつかはどこかに再応募しよう』というのも、どんどん実行してみてください!
児島らせつ様は「小説家になろう」にも登録して、この作品も置いているようですが、あちらにも文芸系の出版社やレーベルが関わるコンテストはありますからね。そういうコンテストから作家デビューを目指すのも、ひとつの手ではないでしょうか。
本当に、WEBに埋もれさせて、眠らせてしまうのは惜しい作品。そう強く思いました。