第24話 ゴールデンハッピーデート (1)

「いらっしゃいませー」

コンビニに入ると元気なお姉さんの声が聞こえた

「なんのアイス食べる?」

光希が聞いてきて、私は二人で食べられる物をコンビニに来る最中ずっと考えた結果を光希に伝えた

「私は二人で分けられるコピパがいいな」

「二人で食べられるものじゃなくて自分で食べたいものでもいいんだぞ?」

光希はいつもそうやって聞いてくるけど私が光希に伝えてるのが私の本心なんだけどなぁ、なんて思いながら一応考えるふりをする

「うーん、明日光希に色々買ってもらう予定だから今日は安くて二人で食べられるコピパがいいな」

「そんなに高いものとか、たくさんは買ってあげられないからな」

そう言って光希はチラッと財布の中を見てた。

多分お金の心配をしてるのかな。いつも私の意地悪を信じてるけど私も鬼じゃないからそのへんちゃんと考えてるから、そんな心配しなくていいんだけどなぁ


二人でコンビニを出て、近くにあった公園のベンチに座った。公園の遊具で小さい子供たちがワイワイ遊んでいた。

「この公園なんか雰囲気変わったよな。昔はもうちょっと遊具とか古かった気がする」

「そりゃあ私達も高校生になったんだから、遊具が新しくなったっておかしくないでしょ」

「それもそうか」

コンビニで買ったアイスを光希が半分にしてくれて片方を私は受け取った。

「ありがとう。久しぶりに食べるなぁ」

「俺も小学生に未華と食べて以来かもな」

「そんなに久しぶりなんだ」

「うん」

アイスを食べながら男の子と女の子が砂のお城を作ってるのを眺めた。女の子が男の子にずっと一緒にいようと言って、男の子の方が照れてた。

「可愛いなぁ」

「未華はあれぐらいの時から俺の事好きでいてくれたのか?」

「ううん、あの時は好きとかはわかんなかった。ただ光希といると楽しいし、優しいからずっと一緒にいたいとは思ってた」

光希は他の男の子とは違って見えた。私には優しくしてくれる男の子もいたけど、光希といるとすごく安心できた。

「そっか。ありがとう。その頃から俺の事を思ってくれてて。俺は未華の気持ちを知ってて、あの時本気で一緒にいたいって思って勢いで告白したけど、俺は未華の事本気で好きだ。愛してる」

「小さい子供がいっぱいいる公園で恥ずかしいこと言わないでよ。でも、ありがとう。愛してる」

愛してるって言ったわいいけど、改めて思うと恥ずかしくて私は黙々とアイスを食べた。光希は涼しい顔で言ってたけど多分恥ずかしかったのか、黙々と光希

も、アイスを食べていた。

「アイス食べ終わったけど、これからどうしよっか」

「写真撮ろうよ。ここで、二人で愛してるって恥ずかしいこと言った、愛を確かめあった思い出にさ」

「いいよ」

「ここの公園を背景に撮りたいの」

「わかった。後ろの人の顔が映らないように注意して…」

スマホを片手にカメラの位置調整をして、私はギュッと光希にくっついて、ほっぺにキスした。

ちょうどそのタイミングで "カシャッ" とシャッターが切られた。

「写真も撮れたし、そろそろ家に帰ろっか」

ちょっと照れながら光希は、「おう」と言って二人で手を繋ぎながら帰った。


「つかれたぁ」

私はリビングのソファにダイブした。その時少しソファからギシギシと音が聞こえた気がした。

「結構歩いたから疲れたなぁ」

「うん」

"ドキドキドキ"

ちょっと息苦しいな

「あんまり休憩しなくても未華家に帰れたな。体力が少しづつ増えてきたのかもな」

「私だって頑張ってるからね、体力増えてくれなきゃ困るよ」

"ドックンドックン"

「私ちょっと汗かいちゃったからシャワー浴びてくるね」

"ドックンドックンドックン"

「わかった」


「はぁはぁはぁ」

"トクンドクンドクンドクン"

凄い苦しいし痛いけど、少し横になれば楽になる。

急いでドアを開けて、ドアが開けっ放しのまま私はベッドに倒れ込んだ

「はぁはぁ」

私は大きく息を吸って、吐き出すを何度も繰り返した。胸がどんどん苦しくなってうずくまっても、繰り返した。この苦しみが、絶対に退いて、また笑えるようになると信じて。

まだ、私には寿命がある。だけどまだ、五月だ。私の寿命が尽きるのは早くても来年の十二月。だから、せめて十一月までは私の元気な姿を光希に見ててもらいたい。

何度目ともしれない息を吸い、吐き出したら、胸の苦しみが無くなっていた。じっとりと身体中に汗がまとわりついていた。光希が部屋に入ってくる前に急いで起き上がりシャワーを浴びた。

お風呂から上がって、少し眠くなって、ウトウトした状態で髪を拭いていた。

リビングに戻ると光希がスマホをいじってたから、後ろから驚かすことにした。

「なにみてるの!」

元気な声を出しながら後ろから椅子の背もたれを挟んで光希に抱きついた。

「びっくりした。今明日行く動物園の事とか調べてた」

「なんか他に可愛い赤ちゃん情報あった?」

「いや、なかった。」

「そっか。他に可愛い赤ちゃん見られたら良かったなぁって思ったんだけど」

光希から手を離して、隣の席に座って、光希のスマホ画面を見るとライオンの赤ちゃんの画像が、何枚か写っていた。どのライオンも可愛い目をしていて、ふわふわな毛をしていた。

「未華が風呂から上がったんじゃ、次俺が入ってこようかな」

「行ってらっしゃい」

私も動物園の事を調べてみることにして、しばらく見てたら、またウトウトし始めた。


「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ」

声が聞こえて顔をあげると光希がいた

「あれ。お風呂に入りに行ったんじゃないの?」

「もう入ってきたよ」

そう言われて、私は寝てたことに気づいた。

「寝るならベットで寝な。リビングで寝てると明日風邪ひいて動物園に行けなくなるぞ」

「うん」

まだ眠い頭で返事をしながら、ゆっくり立ち上がって、部屋に向かった。

光希も後ろから着いてきて、私はベットに寝転がって、光希は机に座って学校のカバンを漁っていた。

光希は偉いな、課題なんてあとでもいいのに。

ウトウトしながらそう思って、また私は眠りについた。

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笑って、サヨナラを言おう 四季 凪 @Sikinagi

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