第23話 ふわっふわが見たい

どこを見ても真っ白な空間にいた。すぐにこれが夢だとわかったが覚める訳もなく、ただただ白い空間にいた。

「わた……い…ご…んね」

突如後ろから声が聞こえて振り返ると、無機質なベットの上に未華が横たわり涙を流しながらこちらに何かを言っていた。耳をすまして聞いてみると次ははっきりと聞こえた。

「私のせいで、ごめんね」

そういうと、ベットから起き上がり俺のいる場所方向とは反対側に向かって歩き始めた。どんどん小さくなってく未華の背中を見て現実の未華もどこか遠くに行ってしまうんじゃないかと、体を動かそうとしたが動かず、必死に声を出そうとするが声が出ない。手を伸ばすが届くかずに、夢は終わった。

目を覚ますと未華の背中があり、俺は布団を強く握っていた。

未華がどこにも行ってないことに安心して、頭をしばらく撫でたあと立ち上がり、キッチンで朝飯を作りに向かった。

朝飯を作ってる途中未華がリビングに入ってきた。

「おはよう光希」

「おはよう未華」

「私の方が寝るの早かったのに起きるのは光希の方が早かったね」

「そうだな、でも今日は俺が飯作る当番だったし未華より先に起きれてよかったよ」

「ちゃんと一人で起きれてえらいぞ!」

「まぁ、作るって言ってもネットで見つけたカレーのアレンジレシピを真似してるだけだけどな。これ作ってた」

今見てるサイトを未華見せると「美味しそう、楽しみに待ってる」と言って席に着いた


アレンジカレーが出来上がり、席に着いていただきますを言った

「ねぇ光希、カレーって作った次の日の方が美味しいって言うけどあれ本当なのかな?」

「本当らしいぞ。前にテレビで見たけどカレーに入ってる具の成分が溶けだして美味しくなるらしい」

「そうなんだ」

カレーをジーッと見たあとパクッと口の中に入れて、じっくり味も美味しいのはわかった

「まぁそこまで大きな差があるわけでもないと思うしわかんないもんなんじゃないか」

うーん、と唸りながらまたゆっくり味わうように食べていた

「あんまりわかんないや」

「わかんなくても別にいいだろ」

と、いいつつ俺も味わうように食べたが昨日のカレーとさほど変わってるように思わなかった

カレーの皿を洗って、未華とソファに隣同士に座りどこに行くか探しした。思いつく限りの場所を探しては見たが、ライオンの赤ちゃんの魅力には勝てず、明日見に行くことにした

「やっぱりここは田舎だねぇ。この辺で遊べるようなところなんてないから電車で行かなくちゃいけないし。私の今の体力じゃすぐ疲れちゃうよ」

「確かにこの辺で遊べるところがないのは残念だな。強いて言うなら山が登れるくらいの場所だしな」

うんうん、と未華が大きく首を縦に振る

思いついてない場所でなにかいい場所はないかと探してると、思いつかなかった場所が出てきた

「未華、ちょっと遠いけど美術館にも行ってみないか?」

「美術館?私行ったことないや」

行ったことがないからなのな、いまいちピンと来ない反応だな

「俺も行ったことないから、どういう場所か見に行ってみないか?」

「いいよ、場所はどこなの?」

未華にスマホの画面を見せた

「結構遠くなるよ。電車に1時間半近く乗ることになりそう」

「ほんとだ、行くのは大変そうだけど、面白そうだね」

「未華が良ければ行ってみないか?」

「うん、行きたい!」

「出かけた次の日は未華のことを考えて家でゆっくり休む日にして、行くところは動物園と美術館でいい?」

「ちゃんと寝れば私だって続けて出かけられるよ」

「学校ぐらいの距離だったらいいかもしれないけど、これから行く二つの場所は遠いから、大事をとって出かけた次の日は休みにする。それに課題もあるしな」

「そっか、課題もやらなきゃいけないんだった、忘れてた」

「ちゃんと未華の分も貰ってきてるから今からやる?」

「私は後ででいいかな」

そう言って未華が立ち上がろうとするから、逃がすまいと腕を掴んだ

「いつも学校前日にやる羽目になるんだから今からやっといてもいいんじゃないか?」

苦笑いを浮かべながら掴んでいる手を解こうとしてくるから少し強く握る

「動物園行った次の日にちゃんとやるから、今日位はゆっくりしようよ、ね?」

「はぁ、まぁゴールデンウィーク初日だし許してやるよ」

ふわふわのライオンに会えるのに免じて、未華の腕を離す

「ありがとう光希。ありがとうゴールデンウィーク」

喜んでる未華はさておき俺は今から課題でもやろうかな。

部屋から出ようとすると今度は俺が未華に腕も掴まれた

「どこ行くの?光希」

「自分の部屋で課題でもやろうかなって」

「課題なんて動物園後でいいじゃん、今からゲームしようよ」

無邪気な子供のような目でこちらを見つめてくる

「やろうよ、ね?」

グイッと引っ張てソファの方に引っ張ってくるが未華の力じゃ俺を引っ張って動かすことが出来るはずもなく

「俺は未華に教えるためにも先にやっておこうと思ってるだけど、教えなくて大丈夫そうなら遊んであげるけど?」

少し意地悪っぽく言ってみた

「私だって課題ぐらい一人で出来るよ!

一人で遊ぶのつまんないから、一緒に遊ぼうよ」

いつもの土日休みじゃないんだし、別に遊んでもいいか

「はぁ、わかったよ、でも動物園に行ったあとはちゃんと課題やってもらうかんな」

「やった!ありがとう光希」

開けたままだったリビングに扉をら閉めて、またソファに座って、今度はスマホじゃなくコントローラーを握り、お腹がへるまでずっとふたりでゲームを続けた。

「もうお昼だね」

そう言われ時計を見ると1時を回りそうだった

「こんなにやったのは久しぶりだな」

「一回も光希に勝てなかったぁ」

「何度でも挑戦は受けるぞ。はははは」

「いづれお主に勝ってみせるぞ。ふふふ」

変な小芝居を挟み未華と二人でお昼を食べて、未華が図書館に行きたいと言うので図書館に出かけることにした。

「何を探しに来たんだ?」

「うーんとね、私も行ってみてから探そうかなって」 「そっか、俺はあんまり本とか読まないから図書館に行くのは久しぶりだよ。前に行ったのは多分中三ぐらいだと思う。受験勉強するのに行った依頼使ってないや」

「私も多分それぐらいだと思う」

話しているといつ見ても変わらず角が尖った真四角な形をした図書館が見えてきた

「久しぶりに見るな」

「いつ見てもちゃんと角が尖ってるね」

「へんな建物だよな」

丸くならないのかねとか、そんな話をしながら歩いてると図書館の入口まではすぐだった

入ろうとしたが自動ドアが反応せずそのままドアに頭をぶつけた

「痛ったぁー。なんであかないの」

ドア全体を見てみると未華が あっ、となにかに気づいたようだった

「ゴールデンウィーク中閉館だって」

未華の見てる紙をよく見てみると、ゴールデンウィークだけでなくしばらく閉館と書いてあった

「何かあるのかな」

「わかんない。でも図書館が開いてないんじゃどうしようか」

「うーん、このまま帰るのもつまんないなぁ」

「じゃあコンビニでアイス買って近くの公園で食べてから帰ることにしないか」

「うん!いいね、それに公園で遊ぶの小さい子供たち見たいし」

「子供達は別に俺は見なくていいかな」

「えぇ、可愛いじゃん」

「まぁ、でもそれで決まりだな」

二人でさっき来た道とはちょっと違う道を通ってコンビニに向かった

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