外吮山頂上決戦 序盤 その五
一九一九年七月 長野県重井沢 外吮山頂上
◇
千手観音・増臂法で増し加えた
〈
千手、と迄はいかないが獲物を捕獲した天芭。
獲物は脱出を試みるも、
「くそっ、奴に掴まれた!」
「捕まえましたよ〈
綺麗に盛り合わせてあげますから、心配は御無用です」
焦りと恐怖を見せる〈
天芭は笑みを浮かべ、両手の
『バスーーーーン!』
〈
上空へと突き抜ける
天芭と〈
瑠璃家宮による援護射撃で半端な自由を得た〈
すかさず右腕と右脚の
遂に完全な自由を手に入れた〈
残り二臂となった
微細な
只その斬れ味を持続させる為には、身体の水分が失われる欠点も抱えていた。
だが今の〈
⦅惜しい所で瑠璃家宮からの狙撃……。
地上では、雑仏の弱点が知れて対処され始めたな。
それにしても、〈
然も狙いは正確無比。
〈
となると正攻法は危険。
一旦間合いを取るべきだな……⦆
〈
戦輪法と造腕法の三密加持をやり直しその場を離脱。
緩急を付けた飛行で、瑠璃家宮に的を絞らせない。
新たな三密加持に入る天芭。
両掌を広げて伏せ、両親指の側面を付けて並べる。
両親指は僅かに曲げ、中指、薬指、小指は緩やかに曲げた。
人差し指は第二関節から深く曲げ、先端同士を付けるは日天印。
天芭は『――ナウマク・サンマンダ・ボダナン・アニチャヤ・ソワカ――』と
天芭へと三度目の突進を仕掛ける〈
⦅熱い……。
周囲は水で覆ってある筈だが、何故こんなに……。
まさか、覆っている水を熱しているのか⁈⦆
日天・焦光法とは、電磁波を照射して対象を加熱する秘術。
早い話が電子レンジだ。
流石の〈
〈
しかし〈
命中しなかった
天芭はめげずに新たな
焦光法を維持して瑠璃家宮 達の居る地上へと向かった。
地上では〈ミ゠ゴ幻魔〉の弱点が露見してしまい、瑠璃家宮 陣営を牽制していた〈ミ゠ゴ幻魔〉が一掃されたからである。
又、瑠璃家宮が川から持って来た水を沸騰させる為でもあった。
蔵主と多野からの銃撃を受ける天芭だったが、弾道を見切っている彼は易々と接近。
瑠璃家宮 達に思い切り肉薄して乱戦へと持ち込む。
天芭の接近には勿論理由が有った。
味方へ誤射する
又、天芭にしてみれば放射している電磁波を
まさに
〈ミ゠ゴ幻魔〉の残骸が散らばる中、天芭の接近を許した瑠璃家宮 達は慌てている。
蔵主と〈
それもその筈、〈
それに
焦光法でジワジワと体細胞を
「そ、そんな⁈
頼子っ!」
「ああぁ、これはまずいですぅ……」
「頼子 君⁉」
「斃れたか……」
瑠璃家宮 達に悲壮感が漂うのとは正反対に、天芭の面相には満面の笑みが浮かぶ。
「あらあら、〈
貴方方も、中将さんの包丁の冴えに魅せられましたか?
じきに〈
それよりも、人様の心配より御自分達の心配をなさったらどうです?
このままだと貴方方、
天芭の焦光法で熱せられる身体とは裏腹に、〈
◆
外吮山頂上決戦 序盤 その五 了
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