外吮山頂上決戦 序盤 その四
一九一九年七月 長野県重井沢 外吮山頂上
◆
如意輪観音・戦輪法で生成した
その天芭 目掛け、蔵主 社長がコルトM1911で発砲した。
蔵主の狙いは概ね正確で、阿閦如来・障壁法の使用霊力を節約する目的なのか、天芭は限り限りで銃弾を躱して行く。
⦅フン、牽制の積もりか。
瑠璃家宮は神力の調整で派手な動きは出来ない筈。
多野はその反動を抑え込むため瑠璃家宮に付きっ切り。
その護衛に蔵主と〈
向うからすれば
それならば狙いは、自ずと定まる……⦆
不空羂索観音・誘導法は、対象を
対象の
この秘術は複数の対象に掛ける事も出来るが、今回は誰になるのか。
⦅多数を相手取る時は、回復役から潰すのが
天芭 頭部左右の
霊力で生成された羂索の輪が巨大化し、多野を縛り上げようとする。
多野は羂索を視認するも、全く抵抗せずその輪に収まった。
天芭は直ぐさま
多野に向け断続的に放つ。
狙われた多野の前に蔵主と〈
四枚では効かぬと見たのか、天芭は
六枚の内自身の両手に生成した二枚を
「ラ~~~~~~~~~~~~~~~~~♪」
「ラ~~~~~~~~~~~~~~~~~♪」
「ラ~~~~~~~~~~~~~~~~~♪」
〈
これにより、空中を飛び回る天芭の位置を瑠璃家宮 陣営全員で共有できるようになった。
瑠璃家宮は、周囲に
水が〈
その切れ込み……
鰓呼吸に身体を順応させた〈
天芭 目掛け猛然と宙を駆けた。
〈
瑠璃家宮の許にも〈
宮森と宗像からの報告によると、あの怪物達は幻魔の死骸で〈ミ゠ゴ〉を培養した疑似生命体らしい。
〈
「中々攻め込んで来ませんねぇ。
時間稼ぎしているのでしょうかぁ」
攻撃して来たかと思えば直ぐに退き、蔵主が攻めれば攻めた分だけ退く。
蔵主が
ここで、宮森からの
宮森が命名した〈ミ゠ゴ幻魔〉は、〈ミ゠ゴ〉同様に胞子を飛散させる恐れが有るとの事。
胞子に対する防衛策を瑠璃家宮に
『承知した。
宮森の思い浮かべている通りにすれば良いのだな……』
臣下の願いを
その水の
胞子を吸い込む恐れの無くなった蔵主は、〈ミ゠ゴ幻魔〉に格闘戦を挑む。
だが、統率の取れた〈ミ゠ゴ幻魔〉達は互いに
業を煮やした蔵主が細胞融解弾を撃ち込み対象の一部組織を融解させるも、それを免れた箇所は何事も無かったかのように振る舞う。
頼みの瑠璃家宮も、今は他の戦場の指示で忙しい。
然も宮森と宗像の居る戦場からは、〈ブホール
「書類整理よりしんどいですねぇ……」
蔵主のぼやきが漏れ始めた頃、〈
「……なるほどぉ、あの円盤を狙えば良いのですねぇ」
地上部隊が〈ミ゠ゴ幻魔〉の対応に追われる中、空中では天芭と〈
〈
天芭は
〈
神力の共有で大幅に斬れ味の増した
一旦離脱した〈
今度は右膝横の
天芭は頭上左右の
だが〈
一撃離脱戦法が功を奏し、天芭 右膝横の
そのまま天芭を抜き去り次の
勿論 天芭も黙ってはいない。
右手の指を上にして両手の指先を軽く交差させる
両中指の交差も外し指腹を付けるは千手観音印。
天芭は『――オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ――』と
秘術再成立後、天芭の
これも、千手観音・増臂法の権能である。
消失した
◇
外吮山頂上決戦 序盤 その四 了
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