幕間 その二

登場人物の紹介である(多野 教授)



☆本作を御覧の読者諸君。

 多野 剛造である。

 第七章に登場する人物達を紹介するので心して聴くように。

 聴き逃しても補習はせんからな。


※本項は登場人物の紹介です。

 若干のネタバレを含む場合がありますのでご了承下さい。


 本項の情報は、作中の一九一九年七月時点のものです。



◆ 主な登場人物 ◆



◇ テンバ・シロー ◇


 日本名は天芭てんば 史郎しろう

 チベットの仙境で生まれ育った天才魔術師で、〈エメラルド・ラマ〉の命により大昇帝 派に協力している。


 井高上 大佐直属の魔術実戦部隊外法衆げほうしゅうの隊長であり、あらゆる魔術の達人。


〈エメラルド・ラマ〉と同一の邪神を定着させている。


【第四章 雷獣の咄(はなし)】で宮森の策略にまり、自身の肉体を焼却する羽目におちいった。

 天才魔術師としてのプライドを傷付けられた為、彼に対し強い復讐心を抱いている。


☆以前 宮森 君に一杯食わされた腹いせなのか、我々と一戦交える事にしたようだ。

 奴の実力は私も認める所。

 瑠璃家宮 殿下の御力添えがないと勝ち目は無いだろう。

 しかも、今度は外法衆の正隊員を連れておるとは。

 どんな秘術を駆使して来るか判らんが、私にも切り札が有るのでな。

 そう簡単にはいかんぞ……。



◇ 武悪ぶあく ◇


 十八人いるといわれる外法衆正隊員のひとり。

 武悪面ぶあくめんを被っている。


 身長は日本人男性平均だが、恰幅の良い体格で禿頭とくとう


 錫杖しゃくじょうを武器として使う。

 雑仏ざつぶつと呼ばれる疑似生命体を生成し、操る事を得意とする。

 ファンタジー作品でいう所の調教師テイマー



☆天芭 大尉以外の外法衆正隊員だ。

 外法衆には準隊員と正隊員とがあり、準隊員九十人、正隊員十八人となっている。



◇ 中将ちゅうじょう ◇


 十八人いるといわれる外法衆正隊員のひとり。

 十六中将面じゅうろくちゅうじょうめんを被っている。


 細身でやや長身、御下おさげにった長髪が特徴の男性。

 一対いっつい都五鈷杵剣すべごこしょけんを好んで使う。


 戦闘流儀バトルスタイルは鍛え抜いた体術。

 ファンタジー作品でいう所の闘士ウォーリアー


☆外法衆準隊員は、全世界共通の魔術師ランクで上級魔術師の実力となっている。

 正隊員はその上級を越えた特級魔術師となるのだ。

 その特級魔術師が十八人も揃えられるとは……。

 全く、大昇帝 派の規模の大きさが羨ましい。



◇ 〈白髪の食屍鬼グール〉 ◇


 今日一郎と明日二郎の祖父である、比星 播衛門ばんえもんを名乗る〈食屍鬼グール〉。


食屍鬼グール〉やその他の幻魔を率いて帝居を襲撃。

 今日一郎とその母親である比星 すみを連れ去った。


 他の〈食屍鬼グール〉とは一線を画す存在で、〈食屍鬼グール〉言語の外に人語を喋る事が出来る。

 又、本来は〈食屍鬼グール〉が使えない筈の魔術も自由自在に操る。


☆本当に播衛門 殿だったら由々しき事態である。

 一度死した後に〈食屍鬼〉としてよみがえったのなら、比星 家が所有していた魔導書と何らかの関係が有るやも知れん。





☆そう云えば、こことは違う世界線でどこぞの国の元首相が暗殺されたとか。

 ここでは私、多野 剛造の私見にもとづいて感想を述べたい。


 先ずSPの動きについてだが、プロフェッショナルとは思えない稚拙ちせつなものと感じる。

 通常、護衛対象が銃撃にさらされたら身を挺して(護衛対象に覆い被さって)守る筈だがな。


 救護の様子もおかしい。

 弾丸が貫通しているのならば、貫通した箇所からは大量の血液が溢れ出ている筈。

 その状態で心臓マッサージをしてしまうと更に血液が流出してしまい、失血死に至る場合があるので普通はやらない。


 貫通した筈の銃弾も今のところ見付かっておらんし、現場には血痕けっこんも無し。

 銃弾が貫通しての失血死とあるが、殆ど血が出ていないのでそれは有り得ん。

 血痕からDNAを解析されるとまずい事でも有るのか……いや、それとも最初から血痕自体が無かったのではないか。


 元首相が演説していた方向も、駅を背にしてわざわざ人通りの少ない方向を向いている。

 余ほど人目を引きたくなかったのであろうか。

 どちらにしろ、演説をやる人間の思考ではない。


 又、倒れる寸前に襟元えりもとがフワフワとそよいでいた。

 空気圧を使う何らかの装置が使われていたのやも知れん。

 倒れている映像では、黄白色のギプスのような物体を右腕にガッツリと巻いていた。

 これは恐らく、血糊袋ちのりぶくろを破る装置だな。

 装置を作動させた際に圧縮空気が漏れ、襟元がフワフワとそよいだのだろう。


 犯人にも不審な点が散見される。

 海上自衛隊に一期だけ在籍しているが、この間ピストルでの射撃訓練など二回有るか無いかだろう。

 とてもではないが、銃や銃弾を自作する程の知識や技術は得られん筈だ。

 この事は、海上自衛隊に勤務している者からも証言が出ている。


 犯人の使用した銃を見てみたが、引鉄トリガー撃鉄ハンマーも無い。

 発射タイミングを調整できない銃で特定人物を暗殺するなど、まさに笑止千万しょうしせんばん


 先込め式の原始的な大砲らしき代物かとも思ったが、画像を見る限りでは一体構造ではない。

 もし一体構造でないならば、火薬に引火した時点で大爆発を起こすのがオチだ。


 ビニールテープでグルグル巻きにされているので材質は判らん(報道では金属パイプ)が、犯人が砲金ほうきん(銅とすずの合金で、少量の亜鉛やなまりを添加する場合もある)を個人的に鋳造ちゅうぞうできたとも思えん。

 銃身や薬莢やっきょうの作成ともなると言わずもがなだろう。


 犯人は山中で試射を繰り返していたと供述しているが、その場合火災の危険も大きい上、銃の構造自体が欠陥だらけなので、幾ら試射を繰り返した所で暗殺に使える代物にはならん。


 大手動画サイトに犯人が使用した銃を再現しての動画が挙がったが、即刻削除されておるようだ。

 支配者層が動画サイトを牛耳っている事は明白だろう。

 だが、根気良く探せばまだ動画は見付かるかも知れんぞ。


 又、暗殺事件の直後に選挙などと、どう考えてもタイミングが良すぎる。

 暗殺された直後は英雄視していたものの、その後は手の平を返したように宗教団体との関係が報じられておったな。

 ではなぜ生きているうちに報道しなかったのか。

 それはな、支配者層は全て宗教団体と繋がっているからなのだよ。


 宗教団体が信者から巻き上げたカネを警◯や政◯家、反◯◯的勢力にバラ撒いておるのだからな。

 だから宗教法人は非課税なのだよ。


『儲ける』の漢字を良く観てみるがよい。

『信』と『者』が並んでいるのが判る筈だ。

 詰まり漢字を創った者達は支配者層で、一般市民など只の家畜としか思っていない証左である。


 テレビ局、新聞社、出版社、大手SNSや動画サイトのスポンサーは宗教団体だからな。

 情報発信での一般市民洗脳は、宗教団体、支配者層の意のままと云う事である。

 少なくとも我ら九頭竜会は、そのような方法で一般市民を扇動、世論誘導しておるがね。


 宗教団体の勢力争いだと言う者もいるが的外れだな。

 何故ならば、宗教団体の根っこは一つだからだよ。

 末端が違うだけで根本は同じ。

 信者を獲得し易いよう、単にガワを変えて見せているだけだ。

 そして一般市民の弱みに付け込み洗脳。

 合法の金蔓かねづるにする。


 宗教団体だけではないぞ。

 ヨガやらスピリチュアルやらも同じ穴のむじな

 結局は金銭をみつがせた上に邪神崇拝に引き入れるのだよ。

 興味が有るなら、宗教で用いられている書物や経典をよく読んでみる事をお勧めする。

 そこに記されている事が何を表すのか、真に賢い者ならば読み解ける筈だ。


 今回の事件に興味が有るのなら、『クライシスアクター』や『ゴムマスク』と云った言葉で検索を掛けてみればよい。

 何某なにがしかの情報に行き当たるであろう。

 そちらの世界線の事は私には解りかねるが、まさかこんな安い茶番劇に騙されている者など、おらんだろうな……。


 ああ、別の世界線の話が長くなってしまったか。

 私とした事が失敬した。

 ではこれより、バトル満載の第七章後半部分を存分に楽しんでくれたまえ。

 闘いの先に何が待っているのか、しかと見届けて貰わねばならんからな――。



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