ザ・グール・オブ・ザ・デッド Ⅱ Aルート その五
一九一九年七月 長野県重井沢 外吮山内部
◇
蔵主 社長が号令を発すると、皆が行動に移った。
〈
宗像は冷凍
総員準備を終え、四方へと散らばる一行。
遂に単眼巨人が
単眼巨人が現れたのを確認すると、一行は先ほど仕掛けを施した場所を目指し移動を開始する。
只今の所、照明は綾が持つ松明のみ。
それについて蔵主が考えを巡らす。
⦅巨大芋虫もそうでしたがぁ、一つ眼も僅かな光源で活動できるよう、光に対する感度が高い筈ですぅ。
もしくは完全な暗闇でも活動する為ぇ、魔術的改造を施されているやもしれませんねぇ……⦆
殺意を
案の定、眼を覆って立ち止まる単眼巨人。
そこへ綾が手を叩き
「鬼さんこちら、手のなる方へ♪」
綾は続けて手を叩き、単眼巨人をある場所へと誘導した。
棍棒の射程圏内に彼女を捉えんがため一歩踏み出した単眼巨人は、足の感触が奇妙な事に気付いた。
そして、今更になって自身の愚かさを
宗像が単眼巨人の足元に向け冷凍
単眼巨人は体温が高く、凍結させるには時間が掛かる筈である。
それを知ってか知らずか、単眼巨人も冷凍
動けなかった。
宗像が冷凍
単眼巨人がいま踏んずけているモノにも噴射していたのである。
それは、一行が退治した巨大芋虫達の死骸だった。
巨大芋虫は粘液を多量に分泌し、それを加工した
詰まり、巨大芋虫の死骸には多量の水分が含まれている筈なのだ。
蔵主の懐中電灯による閃光攻撃で一時的に盲目となった単眼巨人は、綾の手拍子と戯れ歌に釣られ、巨大芋虫の死骸が横たわった場所へと入り込んでしまう。
そして巨大芋虫の死骸から
加えて冷凍
その御蔭で酸素欠乏の
無論、綾が気流制御を行い自陣に被害が及ばぬよう調整するのも忘れない。
巨大芋虫の死骸ごと凍結させられた単眼巨人を尻目に、一行は捨て
「よっしゃ!
これで足止め成功や!」
「その
「だからお前は帝居襲撃の人員に選ばれなかったのだ。
看守
「バカ鬼さんこちら、手のなる方へ♪」
単眼巨人の足止めに成功した一行は、地上への出口を目指し走り出した。
一分ほど走った時点で、蔵主が
出口位置を割り出しに掛かる。
「ふむふむぅ、こちらですねぇ」
蔵主の案内で洞窟を進んだ一行は、出口へと続く通路に入った。
通路は山の頂上に向かっているらしく、登り傾斜が付いている。
幅も狭くなって来ており、大人ふたりが並んで歩けるぐらいの幅しか無い。
一行は登りの折り返し坂に差し掛かった。
蔵主の見立てでは、ここを登れば出口までもう少しらしい。
一行が坂を登ろうとしたその時、どこからともなく地響きが伝わる。
段々と近付いて来る。
その正体に見当が付いた一行は、坂を登り乍ら戦闘態勢に入った。
「はあ~、やっこさん来よったで」
「私が前衛に立ちます!」
「益男さんお願い」
「上手く行きますかねぇ」
巨大芋虫の死骸と共に凍結していた足元は、僅かに巨大芋虫の残骸がこびり付いているのみでほぼ元通りになっている。
そして、一向に対する怒りでなのか
「ごっつ熱いやんけ……。
何がどうなっとるんや?」
宗像の疑問に答えようとしたのか、単眼巨人を
「一つ眼の周辺気温が異常だぁ。
おそらく摂氏五〇度を超えているかとぉ。
通常だと体細胞がとっくに
おそらく奴は霊力で身体を冷却してるんでしょう。
筋肉モリモリのくせに魔術師なんですよぉ、あの一つ眼はぁ。
それにぃ、先程より
正確には背丈だけではなくそのままの
取り敢えず、懐中電灯の灯りを単眼巨人に対して浴びせてみる蔵主。
「ガアアアアァ!」
叫びを上げて
単眼巨人の
前に出た宗像が冷凍
それに単眼巨人が乱暴に棍棒を振り回す為、継続しての噴射も不可能だった。
『このままではあかん!』と、宗像が一か八かの策を披露する。
「もう冷凍
せやから、冷凍
蔵主 社長、その容器を散弾銃で撃ち抜いてくれ。
一つ眼に張られてる障壁が破れればそれで良し。
破れなくとも、酸欠で倒す事が出来たらそれも良し。
最悪、通路自体を崩落させて生き埋めにしたる!」
通路の崩落は一行にとっても命取りになり得るが、今は手段を選んではいられない。
皆も宗像の意見に賛同し、行動へと移った。
宗像が
〈
綾は酸欠に備え気流制御。
散弾が飛び散り
それにより、洞窟内で大爆発が起こる――。
◇
ザ・グール・オブ・ザ・デッド Ⅱ Aルート その五 了
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