ザ・グール・オブ・ザ・デッド Cシーン その四
一九一九年七月 帝居 表宮殿
◇
宮森は〈
その散弾を銃に装填するのかと思いきや、なんと〈
投げ付けられた散弾は宮森の操る
「益男さん、今です!」
宮森からの合図を受けた〈
今度は空気流入を制限する効果の領域を新たに張り直す。
宮森の投げた散弾が小さな爆発を起こし、新たな木片に引火。
霊力を集中した宮森は、木片を一段と激しく燃焼させる事に専念。
それに伴い、火炎の色が橙色から蒼色へと変化。
不完全燃焼から完全燃焼へと移行する。
すると、先程まで暴れ回っていた〈
「コオォッ⁉
アォッ⁈
フゴォォ……」
〈
それを確認した宮森は
木片を一斉に床へと落とした。
床に自然落下した木片は、〈
これは、〈
空間内の酸素を宮森が急速に燃焼させたので、酸素不足に陥った木片の炎は一旦消える。
そして
これは、
無酸素監獄に閉じ込められた〈
一般成人の場合、酸素濃度が一六パーセントを下回ると酸素欠乏の症状が表れる。
代表的なものとしては、筋力と思考力の低下、
一四パーセントを下回ると、全身脱力、疲労感、痛覚
一〇パーセント以下では、全身痙攣、
六パーセント以下ともなると、全身
当の〈
力なく床へと
ひと先ず作戦は成功を迎え、
「ふう、難敵でしたね宮森さん。
「いえ、益男さんがこの場に居てくれたからこその成功ですよ。
奴の鎧と障壁からなる二段構えの防御策には、ほとほと手を焼きました」
「でも宮森さん、〈鎧食屍鬼〉を酸素欠乏に導くなんて良く思い付きましたね」
「今回は天芭 大尉と闘った経験が活きました。
天芭 大尉が使った水分除去領域と燃焼温度を引き上げる術式。
この二つを益男さんと頼子さんが身をもって体験してくれていたお蔭で、今回の勝利に繋がったのです。
仮に酸素欠乏までは至らなくとも、床の木片を
奴に付与されている障壁が熱に反応しないのであれば、いずれは鎧の中で蒸し焼きになる筈。
あちらが二段構えなら、こちらも二段構えで対抗する迄です。
では益男さん、そろそろ止どめを」
宮森の指示を受けた〈
〈
彼は〈
しかし、〈
これまでと同じく床面に破壊が起き、肝心の
「駄目です宮森さん。
奴の意識が無いにも拘らず、障壁が展開されてしまいます」
「解りました。
では、こうしましょう。
益男さんは
〈
〈
所定の位置に着いた拳銃弾は
それも、鎧を損傷させ得る強力なものに対してのみである。
液体のひと
ましてや、細胞融解素には反応すらしない。
衝撃に対し自動で発動する仕様が
厚い筋肉に覆われた〈
やがて対象の
その後の処置も心得ていた〈
〈
一方でコルトM1911の薬室からもう一つ細胞融解弾を排出した宮森は、首級の
「それにしても大きいですね。
まるで巨人の首だ。
多分この〈鎧食屍鬼〉、
「宮森さん、〖
「はい。
丈は、人間の身長を基準に作られた
しかし、
「なるほど、それが通説ですか。
でも、隨・唐時代の単位改訂が偽りだとするとどうでしょう。
もし初めから現在の一丈がそのまま使われていたとすると、先人達の身長は……」
「益男さん、いったい何を……」
「いえいえ。
ほんの
〈
宮森は最後の仕上げに、〈
「益男さん、吸気口に気を付けて下さい」
宮森からの忠告で、〈
〈
細胞融解素が獲物を
細胞融解素の御食事が順調に進められている証拠だ。
巨人の
宮森が後片付けを提案する。
「益男さん、床に落ちた木片からまだ火が出ています。
〈深き者共〉の方々を呼んで、消火活動をして貰って下さい」
「解りました。
これ以上燃え広がると、また焼け落ちてしまいますからね」
軽い冗談を決めた〈
彼が〈
〈
自分達を苦しめた強敵に対し、今は余裕で軽口を叩き合う
「全身鎧に防毒面。
自分より人見知りな奴に出会ったのは初めてですよ。
益男さんはどう思いますか?」
「人見知りは良いとしても、
彼の親御さんか先生は、いったいどう云う指導をしてるんでしょうかね。
全く、
◇
ザ・グール・オブ・ザ・デッド Cシーン その四 了
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