ザ・グール・オブ・ザ・デッド Cシーン その二
一九一九年七月 帝居 大盟殿
◇
通常、
だが絶賛ランニング中の両
〈
正殿は約一六〇畳の広さを有する大
そのシャンデリアが照らす広大な床面に倒れ伏しているのは、多数の帝宮警察官と若干名の魔術師達。
また凄惨な遺体が転がっているため目立たないが、床面がかなり傷付いている。
床面の損傷は一定間隔を保っているものが多く、二足歩行する動物の足跡を思わせた。
しかし損傷箇所の間隔は並外れており、大型類人猿のものだと説明されなければ納得しにくいだろう。
その大型類人猿が、太帝の
人型だが、
眼中に捉えた異形の外見と内部を、早くも
⦅手に持っているのは
たしか、東ヨーロッパで使われていたバルディッシュと云う名の武器だな。
そして、全身に纏っているのは金属製の鎧。
なんともご丁寧な事に、頭部は全て
これじゃあ、普通の拳銃弾や生半可な攻撃魔術では
守衛や魔術師達が勝てなかった訳だ。
鎧表面の小さな傷やへこみは、恐らく拳銃や攻撃魔術で撃たれた
あの様子じゃ、普通に射撃しても細胞融解弾の効果は期待できないな。
さてと、中身の方は〈食屍鬼〉で間違いない。
只あの
巨大蜘蛛みたいな変わり種じゃない分、戦法は読み易いかも知れないけど……⦆
〈
〈
長物を持っていない分、あの〈
斬り結ぶ。
〈
擦れ違いざまに〈
〈
『キィィン……』
『バリッ……』
結果、両
〈
それが通じなかったのだ。
そして破壊される〈
〈
床面に叩き付けた訳ではない。
斬撃を止められた〈
〈
既に相当数の血を吸っているバルディッシュは、
それに加え、〈
詰まり〈
〈
その筋力に武器と鎧の質量が加わるのだ、
〈
一方 宮森は、〈
効果が無いのは解っているが、行動しない訳にも行かない。
彼はなるべく装甲の薄い箇所を狙い発砲する。
『チュィン……』
『バリッ……』
宮森はあわよくばと思い、弾頭内の細胞融解素を活性化させ吸気口辺りに増殖させてみたが、これも効果は無いようだ。
そして、〈
宮森が三発発砲した末、漸く〈
攻撃が効かなかった原因を直感で理解し、思念で宮森に呼び掛ける〈
『宮森さん、奴の武器と鎧は元々が硬い上に、どうやら霊力障壁まで展開しています!
たとえ霊力を込めたとしても、拳銃弾では
これを使って下さい!』
〈
反撃はおろか、まともに防御する事さえ危険なのだ。
〈
宮森は〈
〈
『奴には拳銃弾が効かない。
このままじゃいずれ追い詰められる。
明日二郎、なぜ奴はあそこまで硬いんだ?』
『鎧の方は判らねー。
なんかの合金だろうけど、オイラの見たコト無いモンだ。
それと、アイツに展開されているバリアな。
あれはリミテイションバリアだぜ』
『リミテイションバリア……。
限度指定障壁って事か?』
『うむ。
簡単に云うならば、対象の霊力いかんに拘らず一定威力以下の衝撃を全て無効化。
その代わり、設定限度を超過した衝撃を受けると一発で消滅する。
強力な一撃を食らわせるとバリアが割れて、それ以降は使えないってコトだな。
逆に、バリアを割る事が出来ないといつまで経っても物理的ダメージは与えられん。
バリア自体は時間経過でも消滅するんだろうけど、今夜中には無理だと思うぞ』
『ここで倒すしかないって事か。
でも明日二郎、奴の鎧には幾らか傷が見受けられる。
限度指定障壁は、一定威力以下の衝撃を無効化するんだろ。
説明と矛盾しないか?』
『あー、バリアを展開する迄もない弱い衝撃には反応しない仕組みなんだろーぜ。
霊力の節約も兼ねて、鎧で防げる分はそれで
『自動で切り替わる二段構えの防御壁か……。
で、そんな器用な真似をあの〈鎧食屍鬼〉がやれるのか?』
『いんや。
アイツからは目立った霊力使用が感じらんねー。
だから、少なくともヤツが張ってるわけじゃあない。
バリアの細かい設定含め、この
念の為に霊力使用の
ミヤモリ、今回の敵は今まで以上に厄介だぞ』
『肝心の策なんだけど、いい案は無いか?』
『う~ん、取り敢えずショットガンぶっ放してから考えようぜ』
明確な方針を見出せないまま相談を終えた宮森は、
◇
ザ・グール・オブ・ザ・デッド Cシーン その二 了
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