ザ・グール・オブ・ザ・デッド Bシーン その二
一九一九年七月 帝居地下 小祭事場
◇
〈
銛の先端が彼女の目前まで迫ったものの、突然手応えが消失する。
「ちぃっ!」
〈
水槽に向かい
三つ叉銛による攻撃は
〈
しかしその考えとは裏腹に、〈
その移動速度は完全に〈
〈
⦅コイツ……やけに硬いけど運悪く骨にでも当たったの?⦆
〈
それを
仕切り直しに持って行く。
〈
一方の〈
遊泳速度では〈
遅れて水槽に飛び込んだ〈
『綾 様、御怪我はありませんか?』
『大丈夫。
でもアイツの身体、硬すぎて
それに毒自体も効いてないみたい。
気を付けて、頼子さん』
『承知しました。
綾 様は今暫く奴から逃げ続けて下さい。
奴には眼球が無いようですので、水流を乱せば追い付かれずに済むと思います。
私が追い詰めて止どめを刺しますから、綾 様は御無理をなさらないように』
『わかった。
互いの行動を
逃げる〈
尾鰭を振り水流を乱したのが効果的だったのか、
身を
〈
⦅この水量では巨大化しての戦闘は無理ですね。
身体から発生する熱を冷却するには水槽内の水が不足しているし、水温が上昇してしまえば綾 様への負担になる。
ではどうするか。
そうね、あの手を使うとしましょう……⦆
追う〈
そして霊力を用いて
すると
〈
〈
推進機として使用していないだけで
まともに当たれば、硬い
「でやああああああああぁっ!」
必殺の突きを繰り出す〈
その視界には、口角を上げた〈
〈
⦅奴が、
〈
〈
〈
勢い余った〈
⦅しまった、これが奴の狙い!⦆
亀裂が入った後水槽の一面が砕け散り、貯留してあった水が流れ出てしまう。
⦅高圧水流で威力を増したのが裏目に出てしまった。
邪念の浸透した海水が流れ出てしまっては、綾 様が無防備になってしまう。
早く御守りせねば……⦆
後悔と
幸い〈
床に尾鰭をビタビタと叩き付ける〈
〈
〈
尾鰭が両足に戻るのは良いとしても、妊娠後期の綾ではどの道素早くは動けない。
綾の前に立ち、〈
先程の反省からか、〈
⦅背中、肘、足裏に、
水槽に跳び込んだ時点では、それらを使わずに温存。
追いかけっこを続けてこちらを油断させる。
そして私が一撃を繰り出すのを待ち、肘と足裏を汲水口として、背中を排水口として稼働させ急加速を掛けた。
勢い余った私は水槽を破壊してしまい、水中でしか異形化を維持できない綾 様は無力化してしまう。
中々どうして、賢いですね……⦆
一方の〈
双方が得物を構えた。
二回目の激突。
〈
前回は〈
〈
〈
〈
「ぐっ、目潰しっ……」
〈
「ぐあぁぁぁぁぁっ……」
〈
〈
床に転がる〈
〈
銛には釣り針のような返しが付いており、〈
「ブッ……」
口から
目から光が消え、かなり危険な状態である。
人間態の綾ではどうする事も出来ない。
彼女は膨れた腹を抱え、ゆっくりと
◆
ザ・グール・オブ・ザ・デッド Bシーン その二 了
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