第五節 ザ・グール・オブ・ザ・デッド Bシーン
ザ・グール・オブ・ザ・デッド Bシーン その一
一九一九年七月 帝居地下 小祭事場
◆
宮森と〈
「頼子 様大変です!
直ぐそこまで〈食屍鬼〉達が来て……⁈」
小祭事場に飛び入って来た帝宮警察官は、人外へと変容した頼子の姿を見て
しかし〈
「報告御苦労でした。
で、〈食屍鬼〉共の数はどれぐらいなのです?」
「ほ、本官が見ただけでも五体の〈食屍鬼〉を確認しました。
ただいま〈深き者共〉が対処中ですが、
後それと……」
「それと何です?」
帝宮警察官の眼が自信なさ気に泳ぎ、
「
「はっ!
我々も〈食屍鬼〉の容姿は聞き及んでいたのですが、それとは似ても似つかないモノが目に付いたのです!」
「〈食屍鬼〉とは似ても似つかないモノ?
出来るだけ詳しく説明を」
「それが、
い、今の頼子 様の御姿に似た
それから、え、
〈
「そのモノは味方の〈深き者共〉ではないのですね?」
「はっ、はいっ!
味方では御座いません……。
こちらの〈深き者共〉も、何人か
「解りました。
貴方は引き続き偵察任務を務めて下さい。
先程の報告にあった正体不明の存在を良く観察するよう、御願いします」
「えっ⁈
い、いえっ、何でもありません!
承知しました!」
帝宮警察官は明らかに気が進まない様子だったが、瑠璃家宮の取り巻きである頼子の命令には逆らえず任務へ戻る。
報告を踏まえ、改めて〈
「綾 様、〈食屍鬼〉共がここに雪崩れ込んで来る可能性があります。
充分警戒なさって下さい」
「やったー!
これで綾も久し振りに運動できるよ」
喜ぶ〈
〈
「頼子さん、なんか来たよー。
多分〈食屍鬼〉っていう奴だと思うけどー」
二体の男性〈
〈
二体の〈
しかし〈
〈
「お前達、良くやってくれて有り難う。
そのまま押さえていなさい。
ッッゴアアアアアァ……」
〈
加えて右腕を
これは以前、
天芭との闘いでは喉から切り離さず、地中
しかし今回は、変容した咽頭顎を喉奥の筋肉から切り離している。
『ジャッ!』
〈
先端部が平らな
〈
「お前達、そのまま押さえていなさい!」
「ギャッ!
ワゥンン……」
〈
その〈
「さっすが頼子さん、もう一匹しとめちゃったのね」
〈
〈
眼窩から
哺乳類などの高等動物は、脳幹を破壊されると生命活動を維持できない。
この分だと〈
〈
自由を手に入れた〈
〈
〈
「頼子さんばっかず~る~い~。
アタシにも
〈
〈
陸上では
身重ながら〈
「〈
〈
〈
その後〈
よく観ると、〈
只でさえ糞尿の匂いを
〈
彼女の武器、それは毒である。
その主成分は、ストナストキシン、ネオベルコトキシン、カルジオレプチンと呼ばれる三種類の
その毒が体内に入ると、先ず患部が腫れ、次に痺れを
症状が重くなると、吐き気や嘔吐に加え、血圧低下、呼吸困難、意識喪失など、
毒に当てられ半死の〈
左下膊の鰭で〈
頸動脈から汚血が滲み出し、水槽内を染めて行った。
〈
「あ~あ、弱過ぎてつまんなーい。
これじゃ頼子さんと勝負できないよ~」
「綾 様、油断はなりません。
帝宮警察官の話にあった、正体不明のモノが気に掛かります」
〈
暫く
「頼子さん、強いヤツが来るみたい♪」
『ガタァッッン!』
先程の襲撃で打ち破られたのとは別の障子戸が突如弾け飛んだ。
その原因は先程〈
見張りに立っていた〈
「お、おでは、〈はいどら〉様のいう事、何でも聞く……。
〈はいどら〉様を、守るど……」
やる気だけは満々の即席〈
そして正体不明の異形は警官の頭に刺さっていた銛を引き抜くと、床で伸びていた〈
息の根を止められた〈
更には〈母なるハイドラ〉の権能も発揮させ、異形の
⦅両下膊と両
鰓と水掻き、両脚の先は足鰭になっているわね。
頭部に眼球が確認できない。
だとすると、聴覚や嗅覚が鋭い筈。
思念波での支配は……通じない。
〈深き者共〉ではないか。
奴の身体から滲み出る糞尿の匂いは矢張り……⦆
〈
パシパシと
「誰の
私達と仲良く水遊びでもしようという魂胆でしょうか?
絶世の美女ふたりを前にしてこのような
まあ、私共には夫がおりますので貴方の御誘いには乗れませんけど。
覚悟は宜しいでしょうか、
「はあああああああぁっ!」
「ガアアアアアアアァッ!」
双方の怒号に呼応してふたりの得物がぶつかり合い、〈
〈
戦闘開始――。
◇
ザ・グール・オブ・ザ・デッド Bシーン その一 了
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