幕間 その二
ステップアップ! 井高上 大佐の魔術講座
◆
☆読者諸君ご機嫌よう。
吾輩が井高上 大吾 大佐であ~る。
【第五章 北の邦(くに)から一九一九】での吾輩の大活躍、いかがだったかな?
ここでは、作中に登場する固有魔術や覚者密教の秘術を解り易く紹介するぞ。
良く学んで修練に
さすれば、吾輩が声を掛ける事が有るやも知れん。
その時は是非とも、九頭竜会 大昇帝 派に入会して貰いたい。
※本項は作中設定の紹介です。
若干のネタバレを含む場合がありますのでご了承下さい。
本項の情報は、作中の一九一九年六月時点のものです。
◆ 固有魔術 ◆
固有魔術とは、使用者の霊的資質に端を発した魔術である。
汎用魔術とは異なり、適性が全てを左右する。
よって、どれほど努力しようとも適性の無いものは覚えられない。
又、『
術師に定着している邪霊が凶大であればある程、強力な効果を発揮する場合がほとんど。
但し、効果が強力すぎる場合は術者に何らかの不利点をもたらす場合がある。
☆この固有魔術を会得できるかどうかで、魔術師の評価が大きく変わるのだ。
多くの汎用魔術を扱えたとしても、固有魔術を会得できなければ中級魔術師どまりになる。
使用時のデメリットであるが、肉体の石化がその代表格だな。
吾輩はその石化が起こらないよう、邪霊定着率を意図的に落としている。
◇ 冷気発生 ◇
別名凍気とも呼ばれる。
物体を構成する分子運動を抑制する能力。
大抵の場合使用者を中心に発動され、範囲が広がるごとに効果が減衰する。
修練を積み能力を洗練させると、触れる物体や周囲の水分(雨など)を瞬間的に凍結させる事が可能。
☆たとえ銃で撃たれたとしても、周囲に充分な水分さえ在るのならば、銃弾を止める事などワケないよ。
諸君らの心臓も、止めてみせようか?
◇ 冷気耐性 ◇
対象に冷気耐性を付与する能力。
対象は自分以外でも良く、どれ程の低温にまで耐えられるか限界を設定する事も可能。
☆吾輩がシベリアから飛んで来れたのはこの能力のお蔭なのだ。
所で読者諸君、吾輩と空の旅を満喫してみないかね?
空が見える所ならばどこへなりとも連れて行ってあげよう。
ファーストクラスでのお迎えを約束しようではないか。
但し帰りは現地解散となるが……構わんかね?
◇ 物質との感覚共有 ◇
霊力を込めた物質、又は霊力で生成した物質を媒介に感覚を共有する能力。
言語で表現すると、『岩で聴く』、『水で味わう』、『風で視る』など。
共有する感覚は取捨選択が可能。
消費霊力量により効果範囲も調節できる。
使用者に定着している邪霊の特性により、どの
☆吾輩の場合、物質の状態が気体であれば、どんな物でも感覚共有が可能だ。
透視などの術式を展開せず相手の位置を探りたい場合など、主に隠密行動で役立つ能力だな。
◇ 気象操作時の消費霊力減少 ◇
文字通り、気象操作に必要な霊力量が減少する能力。
能力保持者の邪霊特性と定着率、気象の種類により、減少効率が増減する。
あくまでも気象操作に関わる術式にのみ減少効果が発動する。
後述は能力発動の判定例。
例:風天・自在法で空を飛ぶ→効果発動
韋駄天・神行法で高速移動する→効果発動せず
☆吾輩が作中で湯水の如く術式展開できていたのは、これが理由なのだよ。
気象に関する術式は使用霊力七五パーセントカット!
これも、吾輩に定着している邪神のお蔭だな。
◆ 覚者密教秘術 ◆
◇
自身の肉体を
使用の際には、思考と感覚も同時に
それを行なわないと、移動中障害物にぶつかったり移動経路を見誤ったりする。
使用中は五感が
視界も極端に狭くなるが、これは眼球を動かすのにも
よって、眼球にも
使用中は体表に摩擦熱が発生。
摩擦熱に耐えられる装備が無い場合は、摩擦熱から自身の肉体を保護する為に
また耐熱装備にも耐用限界があり、連続使用を続けると装備が損壊してしまう。
体表に発生する摩擦熱の他にも、動作させる身体の部位には衝撃軽減と冷却が必要。
それを
神行法使用中の打撃攻撃などは、理論的には可能。
しかし、摩擦熱処理と衝撃軽減の範囲が広がってしまい霊力消費が膨大になる為、実用的ではない。
☆この秘術を短い間隔で使用できるよう、チベット仙境の技術を用いて開発されたのが耐熱装備である。
製造には工数が掛かり費用も
この耐熱装備のお蔭で、吾輩は今の地位を築いたと云っても良い。
◇
文字通り風を操る術式。
暴風や竜巻の発生、気流や気圧の操作までも可能。
この術式に熟達すると、空中を飛行する事さえ出来るようになる。
冷気発生と気圧操作の組み合わせで
火炎操作と気流操作の組み合わせで
☆吾輩が最も得意とする秘術の一つだ。
特に神行法と相性が良く、摩擦熱を効率的に冷却でき~る。
近頃の目標は、この秘術を極めて絶対真空を作る事だ。
でっ、きるっかな、でっきるっかな、さてさてふむ~♪
◇
極狭い範囲に指向性の突風を放ち対象を攻撃する術式。
正確には、突風が音速を超えた際に発生する大音響(ソニックブーム)でもって攻撃する。
音速(マッハ
気温摂氏一五度、一気圧(一〇一三・二五ヘクトパスカル)時の音速(凡そ時速一二二五キロメートル)が基準となる。
後述は気温が変化した場合の例。
例:気温が摂氏二〇度時の『音速』は、凡そ時速一二三六キロメートル
気温が摂氏四〇度時の『音速』は、凡そ時速一二七七キロメートル
気温が摂氏
気温が摂氏零下二〇度時の『音速』は、凡そ時速一一四八キロメートル
気温が摂氏零下四〇度時の『音速』は、凡そ時速一一〇二キロメートル
☆解説を読んで貰えば解ると思うが、気温が低くなればなるほど音速に達し易い。
吾輩が戦闘時に周囲の気温を下げるのはこの為だったのであ~る。
どうだね、実に理に適っているだろう?
◇ 伊舎那天・衝撃法・
凍気、韋駄天・神行法、風天・自在法、伊舎那天・衝撃法の合体技。
対象に直接作用するので、鎧などの防具はおろか霊力を用いた
正確な手順としては、先ず韋駄天・神行法で対象に接近。
風天・自在法と凍気で神行法の摩擦熱を冷却しつつ、周囲の気圧も極限まで下げる。
そこへ伊舎那天・衝撃法を応用した振動波を放ち、対象の分子を直接振動させ爆発させる。
術式の特性上、対象が生物の場合は特段凄まじい効果を発揮する。
その理由として、気圧が低ければ低いほど液体の沸点が下がると云う性質がある。
あらかじめ対象周囲を減圧しておけば、いち早く対象を常温沸騰に追い込める。
なお爆発した対象の残骸が凍るのは、気化する際に周囲の熱を奪う性質によるもの。
☆ガード不能で即死の一撃必殺技であ~る。
しかし宮森 君には破られてしまった……。
普通、あの短時間では対策考え付かないと思うんだよなー。
考え付いたとしても、吾輩が打ち込む振動波をそっくりそのまま反転させた逆位相の振動波を作り出すなんて、霊感に目覚めたばっかの新米魔術師に出来るはずないんだよなー。
愛しのマイハニー史郎もやられちゃったし、やっぱおかしいよなー。
◆
☆読者諸君、吾輩の秘術を存分に学んで貰えただろうか?
【第六章 大昇〈食屍鬼(グール)〉前篇】を楽しみにしていてくれ給え。
話は変わるが、コアな読者諸君らは、吾輩に定着している邪神の正体にはもう気付いているだろう。
そう、〖風に乗りて歩むもの〗の異名を持つ、邪神【イタカ】だ。
〈イタカ〉は別名【ウェンディゴ】の名でも呼ばれる。
〈イタカ〉・〈ウェンディゴ〉と
名前まで似てしまうとはね。
これも又、邪神達の計画と云う事だよ。
おっと、ついうっかりして邪神の
読者諸君、邪神〈イタカ〉に目を付けられる恐れが有るぞ。
いや、この作品を読んでいるくらいだ、とっくの昔に魅入られているやも知れんな!
フハハハハハハハハハハハハハハハハ(自慢の
◆
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