横浜の夜で自己紹介の時間が長くなる事情
横浜の港から程近い場所にある会場が本日の舞台。さすがに屋内とあって浜風がここまで届くことはないけど、それでも観客席に見える服装からしてもうとっくに夏なんだなって、それを改めて感じてしまう熱気はひしひしと伝わってくる。
今日のステージの上には、『BLUE WINGS』現役メンバーとそのOG、そしてあたしたち『Green eyes monsters』の三人が上がる。同時に総勢八名ともなるとなかなかの大所帯で、いつもと同じ程度の舞台の広さであっても、やはり狭く感じてしまう程だ。
「皆さ〜ん、こんにちわ〜! 今日は久々の演技ができて大満足してる『BLUE WINGS』の春日瑠海です! なんだか今日の舞台は若い女の子が多いんですけど、芸能界の大先輩として負けないよう頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いしま〜す!!」
「改めましてこんにちわ! 『BLUE WINGS』の
「こんにちわです! 今日も盛り上がってますか〜? 『BLUE WINGS』バッグバンド担当の
ライブのイントロとなる寸劇が終わると、『BLUE WINGS』の瑠海さん、未来さん、ITOさんの順で自己紹介が始まり、続いて『Green eyes monsters』へと移っていく。まずはあたしからだ。
「皆さん、こんにちわ〜! 『Green eyes monsters』のなんちゃってリーダーこと、夏穂です! 今日はこんな素敵な先輩たちと同じ舞台に立てて嬉しく思います。……あ、寸劇は楽しんでもらえたかな? 今日はもっと楽しいステージにしていくので、応援よろしくお願いしま〜す!」
続いてあたしの左隣に立つ、御咲ちゃん、愛花ちゃんだ。ただし御咲ちゃんも愛花ちゃんもいつも以上に顔が強張っているのだけど、本当に大丈夫かな?
「こんにちわ。『Green eyes monsters』の深紗です。さっき夏穂は素敵な先輩たちと言ってましたが、私に言わせるとなんと恐れ多いと言いますか……と、とにかく、先輩たちとのステージを汚さないように精一杯やっていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」
「……って深紗、本当に大丈夫?? あ、『Green eyes monsters』の真南です。今日はわたしも大好きな先輩たちと一緒というのが本当に楽しみなんですけど、それより背後にいるお姉ちゃんに後で怒られないようにとそっちの方を心配してます! 今も冷たい視線が怖いんですけど、夏穂ちゃん助けて〜!! きょ、今日はよろしくお願いしますね!!」
というかあたしに助けを求められたところで本当に返しようがない。とにかく笑ってそのまま返すと、最後は愛花ちゃんの少し斜め後ろに立つ『BLUE WINGS』のOGへと自己紹介が移る。
「『BLUE WINGS』OGの
現在胡桃さんは
「最後になりましたが、皆さんお久しぶりです!! 『BLUE WINGS』OGの千尋です! 無事に音大にも合格して、春からは大学生にもなりました! みんな、その節は応援ありがとう!! 今日はね、私の目の前でビクビクしてる真南のことはとりあえず放っておいて、私の大好きな夏穂ちゃんと一緒の舞台に立てたことが嬉しく思います。あ、もちろん瑠海や胡桃のことも見捨ててないからね! 瑠海もアイドルとして成長したなって。でも今日のライブはもう一つドッキリがあるみたいだし、主役はいつも通りに瑠海には持って行かせないつもりだよ! 私も久々の舞台を楽しむつもりなので、皆さんも楽しんでいただけたらと思います! よろしくね!!」
それはもう、あたしの方がドキドキしちゃう自己紹介を最後にしたのは、愛花ちゃんの姉の千尋さんだ。音大受験のため芸能活動を休止していたため、およそ一年振りの舞台に立っている。本格的な芸能活動再開はまだ先のようだけど、今は妹の愛花ちゃんの活躍もあって、今日は急遽ライブゲストとして参加することになった。そういえば千尋さんって、確か瑠海さんよりも歌が上手かったもんね。あたしもやっぱし楽しみだ。
……っていうか本当に、今日は人数多くない???
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