未来へのライブ
女子高生アイドル殺人事件 〜とあるライブのイントロダクション〜
カホ: ここは都内にある、とあるテレビ局のスタジオ。異変はドラマの撮影中に起き、出演する役者、撮影スタッフまでもが、騒然とした空気に包まれていた。
チヒロ: マナ、マナ〜!!
マナ: …………
カホ: 妹の亡骸を胸に抱き、泣き叫ぶ姉。妹の死因は青酸カリの飲用。一体、どうしてこんなことになってしまったのか。その悲痛の想いが涙へと形を変え、冷たくなった顔の皮膚にぽつりと落ちていく。
ミサ: これは、自殺……でしょうか?
クルミ: だってここ、密室だったんでしょ? 自殺以外に考えられる〜?
ルミ: 自殺と断定するのはまだ早すぎるわ。殺人の可能性だって考えられる。
カホ: ルミの言う通り、状況は殺人と自殺、どちらも考えられた。だが現場は中から鍵がかけられて、密室状態となっていたはずの楽屋だ。
ミサ: ルミさん。いくらなんでもこれは自殺じゃないでしょうか?
クルミ: そうだよ〜。殺人ならどうやってここを密室にしたの〜?
ルミ: ……あの、チヒロさん? ここに落ちてる、青いペンダントは?
チヒロ: それは、マナの誕生日に私が買ってあげたものです。
ルミ: …………
カホ: 遺体の傍に落ちていた青いペンダント。ルミはクロスを使ってそれを摘み上げると、まじまじと観察し始めた。事件に関係しているものなのか……?
クルミ: ルミ〜? ひょっとしてそれが狂気だったりするの〜?
ミサ: それはおかしいわ。マナの死因は青酸カリの飲用だったはず。
チヒロ: 確かにそうだったわね。冒頭でカホがそう言ってたし。
カホ: え、あたし……?
ルミ: いいえ。青酸カリではそう簡単に人を殺せないわ。青酸カリは時間が経つと二酸化炭素と結合して、やがて毒素が失われてしまうの。別の毒物ならまだわかるけど、青酸カリが死因なんて確実にフェイク。真っ赤な嘘ね。
ミサ: だったらやっぱし、狂気はそのペンダントが……?
クルミ: そんな……。そしたらチヒロ、やっぱりあなたが犯人なの?
チヒロ: …………
カホ: ……ごっほん。チヒロは青いペンダントを見つめ、何かを思い出しているかのようだった。妹と過ごした、遠い思い出の日々。懐かしい記憶の数々は、チヒロの瞳を黒く、染めていった。
クルミ: 嘘でしょ? チヒロが犯人だなんて、そんなの嘘だと言ってよ〜!
ミサ: だったら動機は? チヒロさんずっとマナと仲良しだったじゃないですか!
ルミ: 犯人はチヒロさんじゃないわ!
ミサ: え……?
クルミ: 違うの〜? だったら誰が犯人?? 他に登場人物なんていた〜?
ルミ: ええ。なぜなら犯人は今、舞台袖から出てきたばかりの……
カホ: するとルミは犯人と思しき人物に人差し指を向ける。その指先には!?
ミク: あの〜、お取り込み中申し訳ないんですけど、そろそろライブを始めませんか〜?
ミサ: 犯人、ミクさんだったんですか……?
ルミ: そう。犯人はミク、あなたよ!!!
クルミ: そうだったの〜? それはそれでなんだかすごい展開だね〜!
ミク: すごくないから! 演技ができないってだけで配役も振られなくて、犯人にだけされちゃうとか、それはそれでこの台本どうかと思うんですけど〜!!
マナ: でもミクさんは、セリフがあるだけ羨ましいです。
ミサ: あら。死体が勝手に復活したわ。
カホ: もうちょっと寝てても良かったのにね? 楽しかったし。
マナ: わたし、そんなに楽しくなかったんだけどなぁ……???
ITO: 『BLUE WINGS』『Green eyes monsters』、メンバーが全員揃ったところで、そろそろ合同ライブを始めちゃいますですよ〜!! 皆さ〜ん、準備はいいですか〜?
全員: は〜〜い!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます